第24話 舞い散る花 交わす火花

「あ、安藤先輩。この子は前に話した柔道の練習相手をしている相手っすよ」


 にこやかに答える英一。

 これっぽっちも罪悪感を感じていない。


「英ちゃん、このひとおばさん誰?」


 あからさまな敵意を振りまきながら、かおりが聞く


「こないだ言ったろ?会社の先輩の安藤さんだよ」

「こないだ?」

「飲み会で送っていったって言ったろ?」


 もの凄い殺意を目に宿し、かおりは英一を睨んだ。

”女性だなんて聞いていない!・・・送っていった・・・?

 それって、お持ち帰りだったんじゃないの?”


 かおりなのなかで、安藤先輩は敵と認識された。


 安藤先輩も、英一を睨んでいる。


「あら・・・女の子だなんて聞いていなかったわ?中学生なのかしら?」

「高校生です!!」


 即座にかおりが否定した。

 さらに、安藤先輩の顔つきが怖くなる。


「へえ・・・女子高生だったんだ・・・」


”女子高校生と柔道・・・しかも、寝技の練習??ふしだらな・・・”


 安藤先輩の、英一に対する認識が一変した瞬間であった。

 しかも、そばにぴったりと寄り添うように立っている女子高生。


 安藤先輩の目には、犯罪予備軍として認識されたのである。

 澤木英一が犯罪者になる前に阻止しなくてはならない!



 だが、二人の女性の殺意を前にしても英一は全く気がついていなかった。

 英一は、二人の想いに全く気がついていないのだ。


 だが・・・その後、さらなる修羅場が待っていた。



「安藤先輩!!」

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