ハラヘリヴィーナス

雅誅

【1】2006年6月6日 時間・場所・天候不明。ちょっとした悩み(レン視点)。

最近の私はいったいどういうわけか人生で一番と言っても過言ではないくらい調子が良い・・・。

イヤ、調子が良くなった原因について一応心当たりはあるし、『人生』と言ってもたかだか15年しか生きてない今年の春に高等部にあがったばかりの子供だけど。



『どう調子が良いのか?』と尋ねられるとすごくバカな返しになるけど、何よりもまず体調が良くなった。

毎日何かしらのドーピングをしてるんじゃないかと思うレベルで・・・。



去年まで習いごとを色々やらされていて、その中の1つとして水泳を数年間やっていたこともあり、別に体力に問題があるとか深刻な病気を抱えているわけではないんだけど・・・。調子が良いというのはつまりもっとデリケートな問題があったということで、それがなんと解消されてしまったのだ。



さらに調子が良くなった好影響なのか、いくつかある精神的な問題からも解放された。

以前の私はどちらかと言うと超がいくつもつくほどのネガティブな人間だった。


何においても受動的で自発的に何かをやるということがなく、周りに感化されたり流されているうちにあっという間に負のスパイラルに陥ってしまうことが多々あった・・・。


しかし、調子が良くなった時期と同時にその問題も自然とどこかへ消えてしまった。



それまで自分から何かをするという行為そのものがストレスだった私が今では何のストレスもなくウソみたいに自発的また積極的に行動できるようになった。普通の人から見ればそれは些細なことかもしれないが私からするととんでもない出来事だった。


・・・ただ、良いことばかり起きているのかというとそうでもなかった。


色んな人が大なり小なり多かれ少なかれ悩みを抱えているのと同様に調子がよくなった私にも未だに解決されてない悩みがいくつかあるわけで、その上さらに深刻な悩みまでできてしまった。



私の中で最も大きな割合を占めている悩み・・・、それは今巻き起こっている幸福の反動としていつかとんでもない厄災がこの身に降りかかるのではないかという『不安』だ。


裏を返せば、この幸せを手放すのが怖いくらい今がとても充実し幸せという証拠でもあるんだけど・・・。


去年の今頃と比べて180度ひっくり返したような、まるで他人の人生を歩んでいるんじゃないかと疑ってしまう調子の良さが原因で何も手がつかなくなるほど『自分の人生が本物なのか?』という違和感に襲われることがある。



去年の2005年6月―

あれは私の人生で最も辛い時期だった・・・。


この世にはもっと辛いことや苦しいことがウジャウジャあるのは一応分かっているつもりだし、不幸自慢をしたいとかましてや自分が一番不幸だとか言ってるわけでは断じてない。


ただ、可能ならば一生封印して忘れ去りたいほど、あの時期が辛くて私にとって地獄だったのは間違いなかった。



誰の口癖だったか、それとも何かの本もしくはテレビからのウケウリだったか忘れたが『悪いことを心に留めておくと、知らず知らず無意識にその方向に引き寄せられてしまう』という言葉を聞いた記憶がある。


科学的な根拠があるのか私には分からないけど、私自身そういうのは少なからずあるような気がするので

普段はあまり現在の幸福に起因する違和感について考えないようにしている。


とは言っても、気を抜くと不思議な違和感を抱いてしまう日もあるので、そこはやはり15歳の子供なのだと自覚せざるを得ない。



そんなときは、あまり良くない考え方かもしれないけど人生であと何度こんな夢みたいな充実感が得られるのか分からないんだし、楽しめるうちに思いきり楽しんでおくのもそこまで悪い選択ではないのかもしれないとポジティブに考えるよう心がけている。最近は特に・・・。



分かりやすく数値にするのなら、調子が良い充実した現在の幸福度が65%、この調子の良さを失う不安や恐怖心が35%みたいな感じだろうか・・・。


この65%という微妙な数値でさえ過去の私からは想像できない幸福度だった。



できれば、永遠にこの状態が続いてほしいと願っている。

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