恋愛短編集

3

　冷たい空気が頬をツンと刺すような、そんな朝。いつも乗る5号車の端っこの席に座った。最近ネットで買ったBluetoothイヤホンを耳にはめて、プレイリストを再生する。

　鼓膜に響くそのイントロは、こんな朝には見合わない激しいロックだ。俺は思わず、他の曲にとばした。別に虚しいとか寂しいとかそんなんじゃないよ。元々好きだったし、勧めたの俺だし。

　でもまさかさ、ライブに一緒に行ってくれるほどハマってくれるとは思わないじゃん。2人で行くライブが、あそこまで楽しいなんて知らなかったしさ。

　もう、どの曲も、聴けなくなっちゃったよ。