その筒には確かに、リアリティが入っていた。

 カムイという異能、カミガカリという異能者、それが跋扈した過去の戦争ーー。そんな素敵な存在がこの作品では大きな光を放っている。もちろんそれはこの作品の魅力の一つだ。
 しかし、僕としてはそれ以外にも、作中に登場した金属製の筒をすこりたい。何故なら、こうした補助技術とそれに即した小物の存在により、カムイというファクションに更なるリアリティが生まれるからだ。
 この作品の最大の魅力として、私はリアリティを押したい。人間の心の機微、禍根を残した戦争の記憶、異能とそれに基づく文化。それらが絡み合うことで、この作品の世界は肉感を伴って立ち上がっている。SFなどの非現実を足場にした創作物で、それが出来るのは凄いことである。
 良きかな(河の神)

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