第2話 想い

「やばい!遅刻だー」


妻の死から1年経って仕事に復帰した。

職場も一緒だったこともあり、仕事場にいると妻との想い出が蘇えり、辛くなってしまいそうで・・。


空来の存在が、駄目になりかけていた自分を救ってくれる存在となっていた。

空来は、自分から積極的に意見をしてくることもあれば、何も言わず黙って話を聞いてくれる。


空来といると自分に正直になれる事がとても心地よかった。

妻の一周忌が終わって、正式に2人の関係を職場の同僚や友達に打ち明けた!

空来を紹介すると、必ずと言ってみんなが口にするのが・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・お似合いすぎてびっくり!!・・・・・・・・・・


初めは気を使ってくれていると思っていたが、幼馴染に紹介した時に言われたことが、「おまえには必要な女性だよ!」


普通なら「おまえには勿体ない女性だぞー」とかを想像していたが・・・・。


空来との時間は、自分にとって無くてはならない存在になっている。

仕事の愚痴も嫌な顔もしないで聞いてくれる。

酒を飲みすぎて、亡くなった妻の事で泣いたときも嫌な顔ひとつもしないでそばにいてくれる!

その時が空来の一番悲しい顔になる事も分かっている。


今の自分の事を、一番理解してくれる最も信頼のある大事な存在だ。


ただ1つだけ気になっている事がある!

空来に聞いてみたいと常に思いながら、いつも言葉を飲み込んでしまう事が・・・。


空来の事をあまり知らない!

おかしいと思うかもしれないが、空来の家族や出身地、昔の事は自分から一切話をしない。

特に、空来が住んでいる所も知らないのだ。

一度も空来の家に行った事も無い!


家まで送る時は、いつも近くの駅までしか一緒に行かないからだ。


そして私の家にも1回も泊まる事は無かった。

もちろん男女の関係にはなっている。

家でする事もあるしラブホテルに行く事もある。


旅行に行こうと話も出るが、実際には一度も旅行をしたことが無い。

その事についてはどうしても空来に問いかける事が出来ないのだ。

やはり亡くなった妻の事が原因なのかもしれないと思うと、それ以上は踏み込んだ話を出来ない臆病者になっている。


臆病というよりは、今の関係が壊れる事は絶対にしたくない!

ここまで立ち直る事が出来たのは、空来の存在が大きかった事は言うまでもない。


常に私の事を優先して動いてくれている。

健康にも気遣ってくれる。

心の支えにもなってくれる。


いつの間にか妻の事も笑って話が出来るようになっていた。

そして空来との結婚も考え始めている自分に、少し罪悪感も抱きながら・・・・。

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