第2話



小学3年生の時、私は友達の家でいたずら電話をした。

そのことで先生に呼ばれた私と友達2人は、当たり前に怒られた。



「自分の口でしっかりお母さんに話すんだよ」

「2人は大丈夫だろうけど、あなたのところはちょっと違うから…」


そう言っていたのを、今でもよく覚えている。






自分がやった間違いよりも、先生に怒られたことよりも、お母さんに怒られてしまうということよりも、その言葉が私には刺さった。


私の”大人嫌い”はそこから始まったんだ。





”みんなと何が違うのかな”

”母子家庭は悪いことなのかな”


誰にも聞くことはできなかった。もちろん母にも。


そんな思いを残したまま成長した。


4年生になり、バスケ部に入った。姉が入っていたから私も入った。

5年生までは楽しかった。

6年生になってコーチが変わり、そこからの部活は好きだったと言えるものではなかった。

”バスケ”は好きだったし、やめたいという勇気もなかったから続けた。


だけどある日の練習試合、試合に負けたのは私のせいだと言われた。お前だけ何も変わってないと言われた。副キャプテンなんだからキャプテンの仕事もたまにはやれと言われた。理不尽なことも言われて、頭が真っ白になった。


そこからだろう。どこか人に対して冷めたような考えを持つようになったのは。




”私のことは誰もみてくれない”

”何もわかってくれない”

”どうしたらいいんだろう”


伝え方もわからない小学生の私は、ただひたすらにコーチや大人の顔色をうかがう毎日だった。


卒業前に後輩に嫌な思いをさせてしまった。

そこで自分の弱さを思い知った。

もっと勇気があれば、強くあれば防げたことだったのに、一緒になって傷つけてしまった。



後悔から卒業までの残り時間、毎日部活に顔を出した。

傷つけたことも謝り、先生からも散々怒られ、引退もしていたことから、同い年の部活仲間は顔を出さなくなった。それでも、1人になっても後輩と走って、帰り道では一緒になって遊んで少しでも楽しいが勝つように、このことで部活をやめてしまわないように、必死だったんだ。



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