第49話 特別じゃなくても良い

 ふと目が覚めると、可奈子さんのきれいで可愛い寝顔があった。


 そうだ。昨晩はハミガキプレイから少し熱く燃えてしまって。


 冬だけど汗だくになってしまったから、お風呂に入り直して。


 ポカポカしたまま、2人でベッドに潜りこんだんだ。


 それから、お互いに抱き締めたまま、朝を迎えた。


「……んぅ」


 可奈子さんがおもむろに目を開けた。


「あ、冬馬くん……おはよう」


「おはよう、可奈子さん」


「もう、朝なのね」


「うん。朝は冷えるけど……温かいよ」


 俺は可奈子さんを抱き締める。


「私も、温かい」


 可奈子さんもまた、俺のことを抱き締めてくれる。


「……俺、1つだけ胸が大きいことのデメリットに気が付いちゃった」


「え、何よ?」


「ちょっとだけ、距離が開く」


「もう、エロ冬馬くん」


「でも、抱き心地は最高だよ」


「その言い方は、何だか私が太っているみたい……んっ」


 俺は可奈子さんの唇を塞ぐ。


 少しの間、お互いに息を忘れるくらい、キスを交わしていた。


「……火照って来たね」


「さすがに、朝からは……」


「うん、大丈夫。今日は、のんびりぬくぬくする朝だから」


「嬉しい……冬馬くんとのエッチは気持ち良いけど、こういう感じも……味わいたいから」


「ごめんね。思春期男子だから、性欲が強くて」


「良いよ。私がぜんぶ受け止めてあげる」


「え、じゃあ、今から……」


「だから、今はダメなの」


 可奈子さんが俺の顔を自分の胸にうずめさせた。


「い、息が……」


「悪い子にはお仕置きなんだから」


「これはむしろご褒美でしょ。世の男子はみんな、可奈子さんのおっぱいで死にたいくらいだと思うよ」


「いやだ、私のおっぱいは冬馬くんだけの物だから」


「まあ、俺も他人に譲るつもりはないけど。この圧倒的な大きさと重量感、何より柔らかなおっぱいを」


「あっ……こら、ダメ」


 それからしばし、2人でぬくぬくと朝を過ごした。




      ◇




 学校の昼休み。


「なあ、冬馬。お前たちは、クリスマスどんな感じに過ごすんだ?」


「えっ? ああ、もうそんな時期か」


「おいおい、ボケっとしてんなよ。カップルにとって、大事な時期だろ?」


 道三郎が言う。


「何か、道三郎には似合わないセリフだね」


「うるせえよ。モテない親友キャラは卒業したの、とっくの前にな」


「はいはい。でも、クリスマスか……」


 もちろん、可奈子さんとラブラブに過ごしたい。


「知っているか? クリスマスの夜って、1年で1番カップルがエッチしまくるんだぜ?」


「エッチ……」


 今朝、可奈子さんとスローな感じで過ごしたから。


 本番行為はせず、焦れる感じで。


 そのせいか、そのワードだけで無性にムラっとしてしまう。


「俺はもう、涼香さんとホテルの予約取ってあるんだ。スイートルームだ。まあ、涼香さんのお金だけど」


「稼ぎが良いんだね」


「まさか、この歳でヒモ気分を味わえるとは思わなかったよ」


「良いんじゃない? 涼香さんに見捨てられない限りは」


「おいおい、ひどいこと言うなよ」


「ホテルか……今から予約取れるかな?」


「いや、ちょっと厳しいかもな。良い所はもう予約で埋まっているだろうし」


「だよね……バイトも今からじゃ間に合わないし」


「まあ、彼女とよく相談して決めるこったな」


「うん、そうだね」




      ◇




「え、クリスマス?」


 家のリビングでゆっくりしていた時。


 俺は可奈子さんに問いかけた。


「うん、どうして凄そうかって。大事なことなのに、あまり考えてなかったからさ」


「そうね。確かに、クリスマスは特別なイベントかもしれないけど……」


 可奈子さんは口元に手を添える。


「でも、私はいつも冬馬くんと一緒で幸せだから。特別なことなんて必要ないわよ」


「可奈子さん……」


「じゃあ、クリスマスの日は、ちょっとだけ豪華な料理を作って。お家で、冬馬くんと2人きりで過ごしたいな」


「……もうダメだ」


 俺は可奈子さんを抱き締める。


「きゃっ」


「……今朝、焦らされた分……良い?」


「……良いけど。もしかして、クリスマスはいつも以上にエッチしちゃうの?」


「いや、ちょっとだけ、多めに程度だよ」


「どうだか。冬馬くん、すごくエッチなんだもん」


「可奈子さんもね。じゃなきゃ、こんなにエロく育たないよ」


 俺は可奈子さんの豊かな胸をつついて言う。


「エロ冬馬」


「エロ可奈子さん♪」


「年下彼氏のこういう所、ちょっとムカつくわね」


「マジで? 俺、可奈子さんに見捨てられたら、もう生きて行けないよ」


「別に見捨てたりはしないけど……じゃあ、ちゃんと良い子にしてくれる?」


「可奈子さんがいっぱいエッチさせてくれるならね」


「はいはい、気が済むまで好きにして良いわよ」


「言ったね?」


「ちょ、ちょっとは加減しなさいよ?」


「大丈夫、俺は紳士ですから」


「変態紳士ね」


 きゅっ。


「あッ!」


「やっぱり、優しくするのやーめた。今晩は、イケない可奈子さんをいっぱい苛めても良い?」


「な、何でそうなるのよ~?」


 この後、冬なのにまたメチャクチャ暑くなった。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る