第15話 体調不良?

 俺はここ最近自分のステータスとスキルの事しか頭になくて周りの事を全然見ていなかったらしい。

 なぜ今更こんな事をって?それはここ数日間ずっとグランツェの体調が良くないっぽい。それにずっと口元を押さえて吐き気がするとかも言ってたな、、、


 それにアレクスがずっと家事を手伝ってたな。しかも、ここ数日ゆっくり休めとアレクスがグランツェに言ったので料理担当は俺。

 正直、なぜって思った。


 アレクスは不器用で大雑把なところがあるので料理は任せられないとのことで俺が一任。


 まぁ、母親が体調不良だったのなら仕方がない。わたくしに料理を任せなさーい。


 とまぁ、そんな感じでグランツェ抜きで二人で家事を回す事になった。というか、基本的にずっと家にいる俺がほとんどの家事やっているんだけどね。


 全然いいんだけどね。むしろ気分転換にちょうどいいと思った。少し前まで精神が崩壊しそうになってたから。


 という事で今日の昼食はこちら。

白ごはん(グランは念のためにお粥)

山菜多めの味噌汁

白身魚の塩焼き

生野菜サラダ   以上!



 なんと健康的な食事だろうか。いやダメだ!塩か少し多い。病人にこんなものを出させていいのか? 

 そんな事を考えながらグランツェのところに料理を持っていった。


「ここ数日間、何も出来なくてごめんね。」

「いいよ。休んで早く治ってくれたら僕以上に働いてもらうから。」

そんな冗談を言うと結構真剣に返された。


「そうね。頑張らないとね、、」

「嘘、嘘だよ。冗談だって。そんなに真に受けないで。大丈夫だよ。もし長引いても風邪が治っても僕がやるから。」


 そう言うとグランツェは少し笑みを見せた。

「じゃあ、これからもずっと家事をお願いしようかしら?」

「嘘だよね。冗談、冗談だよね、ね!」

「えぇ、冗談よ。そんなに真に受けないでよ。」


ぬぐぐ、、、コヤツ、、一本やられたぜ。病人の癖に相変わらずお淑やかで冷静だな。そんな事を思いつつも俺はグランツェにご飯についての断りを入れた。


「話変えるけど、今日のちょっと塩っぽいかも。多かったら残しといて。後で自分の分と一緒に食べるから。廃棄するのはもったいないと思ったから出したけど、無理しなくていいよ。」

そう言ったがグランツェは笑顔でとても美味しそうに俺の作った料理を食べてくれた。


「ローランの料理は美味しいから大丈夫よ。

ところでこの米で作った"お粥"って言うの?とても喉を通りやすくて食べやすいわ。どこで知ったの?」

前世の記憶を元に作りました。なんていえないよな。


「ベンさんから材料と作り方をもらってね。それで作ってみたんだけど。」

もちろん嘘である。後でベンに情報が回って追及されたら本で知ったって言っとこ。


「あら、ベンさんに!体調が良くなったらお礼しなくちゃね。」

そう言っていたが、もしベンの耳に入ると俺が後々面倒なので「僕からお礼は言っておくよ。」とだけ言って食べ終わった食器を持って洗いに行った。


 本当に大丈夫なのか?過去数日間、体調が治ってる気配はないぞ、、



 それから約2ヶ月の月日何流れた。グランツェの体調は徐々に良くなり、下腹部あたりが膨らんでいた。

 それを見て俺はふととある事を思い出した。



 ローラン、あなたはまだ子どもなんだからもう少し早く寝なさい。(※13話参照)




 その時か!!!なるほどね。たしかにアレクスとグランツェの年齢や収入なんかを鑑みるとそういう感じになるのも納得できるわ。

 まぁ、収入なんかなくてもアレクスが騎士団で働いていた時の金が結構あるから大丈夫なんだけど、、、

 それを無駄遣いすることなく全部貯金だなんてさすがだな。俺だったら絶対いくらか使っちまうよ。




 とまぁ、どうやら俺が寝ている間にログインとログアウトを高速で繰り返していたらしい。


 おっと、こういうのはプライバシーに関わるからあまり触れないであげよう。適当な時期になったら「どうしたの?」みたいなことでも言っといてやるか。


 そうして俺はまだグランツェの下腹部が膨らんでいる事を指摘しなかった。



 それから約1ヶ月。そろそろ言うタイミングかな〜、なんて考えてたけど俺が言う前にアレクスから大事な話があるとリビングに呼ばれて3人揃った。


「まずはローラン。あともう少しだけ家事を手伝ってくれ。あと4、5ヶ月くらいだ。」

そうアレクスは頼み込んできたが、料理とかしてて意外と楽しかったので俺は「全然気にしなくていいよ。」と言った。


 じゃあ俺から本題に入らせてもらうとしよう。


「それでお父さん。大事な話って?」

「それはだな。お母さんのお腹の中に新たな命を授かった。」

うん。知ってる。見りゃわかるよ。だけど冷たく、ハイソウデスカで終わらせてしまうと二人を傷つけてしまうかもしれない。

 なので前世から抱いている俺の願望を言うことにしておいた。


「本当!やったー。この家ももっと賑やかになるね。子どもはかわいい女の子がいいなぁ」


はいそうです。可愛い妹が欲しいのです。前世からずっと思っていました。ちなみに前世の俺は末っ子。上に兄と姉を一人ずつ持つ末っ子。それにずっと家では二人が喧嘩しててさ、俺が毎回橋渡し役と言いますか、仲介人と言いますかそんな感じになってたんよ。


 そんな中ずっと欲しいなって思ってた。従順な妹。わかるだろ?わかるよな!というか末っ子じゃなくても万人共通だよな!



 おっとっと、熱くなりすぎた。とまぁ、そんなわけで欲しいんですよ。



「そう思うわよね。私も女の子がいいと思うの。」


 そう同意してきたグランツェとは反対にアレクスは自分の意見を押してきた。


「いいや。男の子じゃないとダメだ。元気のある男の子だ。こんなローランみたいなひょろひょろの本好きなんかじゃない元気な男の子だ。」

「いいえ、お淑やかで優しい女の子じゃないとダメです。」


あのお二人とも、、もう性別は決まっているので口論しても時間の無駄ですよ。

、、、って今、アレクス俺のこと人格否定してなかったかコノヤロー

 ふざけんなよ。前世ではお前みたいにムキムキなやつより筋肉あるけど細いやつの方がモテるんだぞー!!モテる気ないけど。

 

 というか、遺伝子的に俺もムキムキになるのかなぁ、、、どうかグランツェ寄りであって欲しい。前世では結構体格いい方だったからずっと細身に憧れてたんだよな。

 

 まぁ、そんなこんなで、何故か大事な話が口論に変わっていた。


 どうか、俺に従順で可愛げのある女の子でありますように、、 

 そう願うばかりだった。

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