第43話 コーヒー
時計を見ると14時25分
隊長と副隊長が周囲を警戒しているうちに山田がフルーツ味の携帯食料を配る。
いつ外に出れるか分からない状態では食料は貴重だ、水に関しては持ってきている分もあるが携帯型浄水器もありそれでも飲み水を作れる。
まずは瞬と凛と近藤が遅い昼を取る。
食べていると凛が涙を流している。ここまで我慢してきた緊張の糸が切れてしまったのだろう。瞬が一生懸命髪の毛をなでている。
近藤は凛が泣いてくれて良かったと思った、そうでなかったら自分が泣いていたかもしれない。
携帯食料をゆっくり味わうように食べて、近藤が警戒に立つと次は山田が瞬と凛の近くに来て食べ始める。
瞬はなんとなく山田という人が分からなかった。
不気味とまでは言えないが何を考えているのか分からないところがある。
そして、すごい筋肉だ。
一気に食料を飲み込むとすぐに警戒に戻り、次に加賀副隊長がやってくる。
「凛ちゃん、大丈夫だからね」
そう言われると凛は加賀副隊長に抱きついて大声を出して泣いた。
加賀は凛の背中を優しくさすってあげる。
しばらくして凛が落ち着くと携帯食料を半分食べてあとは凛のバッグに入れる。
最後は最上隊長がやってきた。
隊長は自分のバックパックからカセットボンベとガスバーナーを取り出すと手際よくお湯を沸かし始めた。
小さなケトルのお湯はすぐに沸騰する。
マグカップにコーヒーを作ると瞬に手渡す。
「こんなものですが飲むと落ち着きますよ」
「はい、あの隊長」真っ青な顔の瞬が何か言おうとする。
「今は大丈夫です、まずは出ることを考えましょう」
少し大きなマグカップに注がれたコーヒーを瞬が飲み、凛にも「飲むか?」と聞くが凛は「いらない」と首を振り下を向いている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます