第32話 陸海警備保障株式会社
2週間の間、瞬は林三佐と交渉し、地下通路探索のために防衛省から何人か人を出せないかと提案した。
林三佐からの返事はNOだった。
魔女の館の管轄が財務省となっているためということだった。
正式な自衛隊員は派遣できないが、退役自衛官が中心となってボディーガードなどの警備業務を行っている会社を紹介するということだった。
7月第一週の月曜日。
東京都港区にある10階建てのビル、その三階に会社はあった。
受付の女性に名前を告げると応接室へと案内される。
警備会社というと雑然とした事務所に中高年のガードマンといった印象だが、陸海警備保障はボディーガードを専門としていることもあってかオフィスも洗練されていて出入りする警備員もスーツをびっしりと着た屈強な若者が多い。
瞬は黒のチノパンに白いカッターシャツ、凛は丈の長いスカートに水色の長袖シャツだった。
2人が少し緊張しながら待っていると応接室のドアが開いた。
顔は笑っているが目は鋭い光を放っている。
「
落合の名刺には代表取締役社長と書かれてあった。
「
「
それぞれ丁寧に挨拶をする。
「お二人のことは林から聞いています」低く、良く通る声で話を始める。
「はい、無理なお願いなのは分かっています、が」瞬がうつむいたまま言葉を選ぶように話す。
「私は林には何個か借りがありまして、それに、木島さんみたいなお嬢ちゃんが危険を冒して防衛省の依頼をこなしているのに関係者の我々が断るわけには行きませんよ」
「ありがとうございます」
「派遣する隊員をリストアップしております、5名が限度ですがよろしいですか?」
「はい」
「装備類は我々が持てるのは警戒棒、まあ警棒のようなものですが、それくらいです。ただ、5名とも空手の有段者で責任感もあります」
「ありがとうございます」
「7月10日から7月11日までの2日間、24時間体制で5名の警備員をお二人の身辺警備にあたらせます、契約と隊員名簿、そして隊長の紹介をしますので明後日の午前10時にもう一度弊社へいらしてください」
「はい、社長」
「神木君はいい目の輝きをしていますね、うちにも神木君のような社員がもう少しいたらと思いますよ」
「ありがとうございます」
「まあ、無事に終わらせましょう」
最後は落合社長と握手をして2人はビルを出た。
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