第14話 調査の朝


  月曜日の朝、瞬が目覚めるともう凛は起きていた。


 「起きた?瞬」


 「ああ、おはよ」


 長髪の瞬はぼさぼさの髪の毛を掻きながら起きる。


 「夜中考え事してたでしょ?」


 「え?なんで分かるの?」


 「瞬の妻だからそれくらいは分かるんだよ」


 「はは、そうか、いい奥様だ」


 「今日は私がご飯作るから、パスタでいい?」


 「ああ、いいよ、凛は料理もうまいものなあ」


 「美味しくなくても、我慢して食べてね」


 「はーい、了解」



 2人は食事をして午前9時ちょうどに活動開始報告を入れる。


 2人分の時給としては安くない金額が支給されているが、危険手当を考えるともっともらってもいいのかもしれない。


 どちらにしても、業務委託契約になっていて雇用関係にはないから時給という考えからはちょっと離れているのかもしれない。


 この日は雨だった。


 瞬は濃紺のパーカーにジーンズ、パソコンをリュックに入れてサバイバルナイフも腰のホルダーに収納した。


 凛は黒のジーンズとベージュ色のシャツそれに濃緑色のカーディガンを羽織った。スタンガンはもちろんバッグの取り出しやすいところに入れてある。


 マンションを出て西ヶ原に着くと地下鉄南北線に乗る。


 調べてみると、四谷まで出てそこで中央線に乗り換えるのが早いようだ。


 月曜日の朝とはいえ、時間はもう9時を過ぎているので満員というほどではない。


 四谷で降りて中央線に乗り換える前に一度喫茶店に入る。


 凛がどうしたの?というような顔をする。


 「登記」瞬が短く言う。


 「あ、そうだったよね」短い髪の毛をいじりながら照れ隠しをする。

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