(三)-8

「この子が?!」

「こいつに紹介してやってくれよ、パオロを、さ」

 ロザンナさんはそう言われて、部屋の隅で積み木遊びをしている子どもを抱き上げて連れてきた。

「さあ、パオロ、自分の兄に、ご挨拶なさい」

「兄?」

 僕は思わず声を上げた。

「そうよ。この子ははあんたの父親の子どもなんだよ」

 抱きかかえながら、パオロの顔を僕の方に向けてそう言った。

 パオロは言葉を話せなかったが、笑顔で僕の顔を両手で触ってきた。

 僕はそんなパオロに笑顔を見せるのが精一杯だった。

 話によれば、父はロザンナさんと仲良くなり、父の子を身ごもり、産んだというわけだった。


(続く)

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