七話 影武者少女の初仕事

 七話 影武者少女の初仕事


 なんだかんだ経ちまして、今日は私の初の影武者仕事です。

 戦争中の敵国の有力貴族との取引。

 お互いに警戒していていまだ顔を合わせたことはないそうですが、それではうまくいくものもうまくいきません。


 そこで私の出番です。

 公爵様の手紙を届ける傍ら、公爵令嬢ということになっている私がその貴族の領地に赴くことで、信頼関係を築くというのが今回の任務です。


 こんな危険なこと、本物にやらせるわけにはいきませんからね。

 それに仕事自体は超簡単です。

 私がその貴族のもとに赴いたという事実のみが重要なので、行った先で何かやらなければならないことはありません。

 それにお互いにまだ裏切るようなタイミングでもないので、実際のところそれほど危険でもないですしね。

 公爵様からの信頼も稼げますし。


 というわけで行ってきます。


「じゃ、奴隷ちゃんあとはよろしくね」


「あの、私にはフローラって名前があるんですけど……」


「一人前になったらね」


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 あ、ちなみにアルベード家が没落した理由だけど、単純に今進めてるこれが盛大に主人公たちによってばらされたんだよね。

 国家を裏切ろうなんてしたからね。

 そりゃ、貴族からも民衆からも大バッシングよ。


 この国最近戦争で押されていて、今しかないってタイミングで公爵様は動き出したんだ。

 それはさすがって感じなんだけどね、この国にはあり得ないレベルの天才が二人生まれるからね。

 主人公と王子が動き始めたらね。


 だからこの国の勝利は揺るがない筈なんだけど、そんなのわかるわけないからね。

 ただ、これ何とかしないと結局ケレスは助かんないし、そういう意味じゃこのポジションはおいしい場所だよね。

 普段暇だからほかにもいろいろできるし、何より公爵様からめちゃくちゃ信頼されるから。


 信頼はなんにでも使える。

 お金にもなるし、それこそ人を殺す道具にもなりえる。


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 ここが、敵国か。

 何というか優勢なだけあるね。

 活気が違う。


 あとこの国は他種族との融和政策を進めてるみたいで、獣人とか魔族とかさ、ファンタジーみたいな種族がいっぱい。

 そのために奴隷も禁止されてるみたい。


 一度便利さを知っちゃうと……

 よくこの国は禁止で来たな。

 まぁ、どうせ権力者たちは裏で取引してるんだろうけど。


 やっぱ戦争で勝つにはきれいごとも大事だからね。

 王子みたいな心の底からきれいなタイプも、悪役令嬢みたいな自分のやりたいことを押し通すのもうまくいかないからね。


 結局主人公ちゃんみたいな、きれいごとを並べながらそのキレイが濁らないようにちょっとずつ黒いもの流すタイプが、全部手に入れるのよ。

 王子含めたイケメン逆ハーレムって、どれだけの女なんだか。


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