七話 メイド少女は家庭教師

 七話 メイド少女は家庭教師


 結局あの作戦はうまくいき、ケレスちゃんは遊び疲れて迎えに来たメイドさんと一緒に帰って行った。

 そして数日後、ケレスちゃんの家庭教師になってほしいという話が舞い込んできて……


 ーーーーーーーーーーーーーー


「え? 家庭教師!?」


「そうよ」


「お母さま。私ケレスちゃ……さまと同い年なのに家庭教師って」


「リバーシってゲームお嬢様に教えたのイリスでしょ?」


 どうやらケレスちゃんはリバーシにドはまりしたらしく、お土産にあげたあの板を使ってメイドさん達相手に日夜特訓しているらしい。

 ただ、もともと勉強が好きじゃなかったのも相まって、余計に勉強しなくなり家庭教師たちを困らせていると……


 なるほど、完全に私のせいですね。

 でもそれがなぜ、私が家庭教師をやるなんてお話に?

 私は、貴族の娘に余計な遊びを教えた庶民でしかないんですけど……


「そうだけど……」


「私もお嬢様に教わってやってみたけど、リバーシって結構頭使う遊びじゃない」


「まぁ、確かに」


 私は頭使ったら負けるかもしれないから、使わずに勝てる方法をとったわけだけど、一般的にリバーシは頭脳をつかう遊びであることに間違いはない。


「それでね、家庭教師さんたちがちゃんと勉強したら、イリスちゃんに勝てるように一緒に特訓しましょって言ったんだけど……」


 ケレスちゃんが家庭教師さん達の実力を知りたいって言って、ただでさえ減ってる勉強時間がもったいないからと小さな板で戦ったと。

 そして家庭教師たちに先攻を譲ったうえで、ケレスちゃんが全勝し、自分より弱い相手に教わることはないと……


 勉強したくないのに、わざわざ先攻を譲ったねぇ。

 もしかして気づいちゃった?


「そ、それはすごいね」


「そうなのよ。家庭教師の人たちって、もちろんとっても頭がいい人たちなのよ。その人たちに全勝しちゃうんだもの。さすが公爵令嬢さまね」


 実際は途中で気づいた人もいたんだろうけど、まぁ先に気づけなかった時点で負けみたいなもんだしね。


「イリス。あなたお嬢様に負けなしだったそうじゃない」


「えっと、ほらあの時はケレス様も覚えたてだったし」


 そうだった。

 いつまでステータスのこと覚えてるかわからなかったから、結局リバーシでは全勝したんだった。


 ほかのゲームに誘導した後は普通にいい勝負だったけどね。

 手を抜いたとかじゃなくて、普通にやって勝ったり負けたりして、ちょっとショックだったのと、リバーシにしといてよかったって安心したけど。


「それにみんなあんなゲーム初めて見たって驚いてたわよ」


「え?」


 あれ?

 ないの!?

 名前違っても似たようなゲームがあると思ってたんだけど。

 実際ミニゲームみたいな感じで、チェスもどきみたいな盤面遊戯出てきたし。


 あ、でもそうか。

 今この国戦争中だもんな。

 戦時中は娯楽文化が育ちにくいっていうし、そのせいか。


「ま、それはいいとして。お嬢様より強い人なんて、あなたぐらいしかいないでしょう。ちゃんと教えるのはほかの家庭教師の人たちがやるから、サブみたいな形で入ってほしいんですって」


 まぁ、それくらいならいっかな。

 家庭教師か。


 よく考えたら、結構いい気がする。

 間違った、悪役令嬢的考えを幼いうちから強制すれば……

 それに日常的に公爵家に出入りできるのも、イリスちゃんを救おう計画にはプラスに働くし。


「お母さま私家庭教師やります」


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