第2話

私、三船みふねゆい16歳、現在高校を無事2年に進学し早6月。

これまでの人生目立たず地味に生きてきました。成績は平凡、容姿も平凡、運動神経は平均値で親の収入も特に良い訳ではありません。絵や歌が上手い訳でもなく、身長も158だし、出席番号は三船なので大体真ん中辺りと、平凡で平和な人生を無難に謳歌してきました。


しかし、そんな私にも春が来たのです。


この高校に入学した日私は人生で1番の、いや初めての恋をしました。

恋愛ソングや青春ドラマなんてきっと表現の誇張に過ぎない。

そう思っていた私がその瞬間、


時が止まったと思いました。


壇上の上で凛とした態度で話す彼の声が体育館全体に響き渡る。

大勢の視線を一心に浴びても動じる気配すらなく堂々とスピーチをすると彼は一礼して降壇していた。


一瞬の事だった——、その前の校長の挨拶はとても長く感じたのに——。


私は大分出遅れて彼へ拍手を送った。

止まっていたのは私の心臓だったのかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る