第14話


1人乗りのモーターボートに乗っている私。

今からレースに挑む。


ボートは水面の下で浮かんでいる。

私の下半身はボートと共に水に浸かった状態だ。

だがそれはライバル達も同じ条件である。特に問題無い。


エンジンを全開にしてスタートラインへ飛び込んでいく。


瞬間、


横から波が選手達を襲う。



私もライバルも波に流される。

しかしすぐにコースへ戻り続々とスタートを切っていく。



水面には2つのブイが浮かんでいる。

2つのブイの間には300mの距離があり、

それぞれのブイの外側を周って600mのコースとして周回するルールらしい。


私を含む6名の選手が1つ目のブイに殺到する。

そしてターン。


ターンした後、私は自分の順位を確認する為にライバル達を探す。



だが、ライバル達の姿は無い。

どうしたのだろう。沈んでしまったのだろうか。


まぁいい。レースは続いている。

波を切って2つのブイへ向かう。


2回目のターンを終える。

スタート地点に戻ってくる形になるが、後2周する必要がある。

3周してスタート地点に戻ってきた時がゴールだ。



2周目に入る手前で目の前を2人程ライバルが横切っていった。

波で流されているようだ。

あいつらは脱落だろう。敵が減った。



2周目を無難にこなす。依然ライバル達の走る姿は見えない。

私以外走っているやつは居るのだろうか。


恐らくこのままゴールすれば私の勝ちだろう。

半ば勝利を確信して3周目。首から下は水に沈んでいる。

よく見るとライバルはコースの端っこで佇んでいるではないか。

間違いない。私が1位だ。1人中1位だ。


最後のターンに向かう。ゴールは目の前だ。




しかしゴールできなかった。


何故か。




私はアラームの音に叩き起こされた。


そこは汗で濡れた布団の上であった。

仕事に行かなくては・・・・


身支度を終えた私は家を出て、

周囲の人と競い合うかのようにして職場へ向かった。

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