第25話 何かの気配

 ユナは何かの気配を感じる。獣がエモノをねらっているような。

 ふっとふりかえりるとひょっこと子供の顔がみえた。猫みたい。

「リー様」

 ユナはファンリーの服の裾をひっぱる。

「なんだ?」

「リー様、あそこの建物の影になにかいるみたいです」

 あれ、さっきまでいたはずなのに、後ろをふりかえるといなかった。

「なんでも、ないです」

「そうか、ちょっとここの宿屋に入ってみよう」

 ファンリーは柱に馬の手綱を柱にくくりつけ、宿屋に先に入っていく。

 ユナは先程いた場所をみると子供の顔が2つならんでいた。

「あ、」

 声をかけようとしたがファンリーはもう入っていた為に声をかけれなかった。ユナはあわててファンリーのもとにむかう。

 宿屋は宿泊客がいなくてもやっていけるように1階が食堂になっている。衛生面もよくなく、くたくたに疲れた労働者がひしめきあっていた。

 ファンリーはユナの顔をみる。

 ここは辞めたほうが方がいいな。他の場所を探そう。

「ユナ、別の宿をさがす」

「はい」


 ふ、ふえてる。


 外にでると影からのぞく子供の顔が増えていた。

「リ、リー様」

 裾をひっぱるがその時には子供の顔はなくなっていた。

 次の宿に入るとやはり似たようなものでユナと泊れるような宿ではなかった。

 その宿からでるとファンリーは叫んでしまった。


 なんだーーー!


 ぼろぼろの服をきた子供達が宿屋の前に集まっていた。

「パンちょーだい」

「パンちょーだい」


 ファンリーとユナは囲まれてしまった。手がだ出せない。どうしよう。そんなとき紙袋がファンリーとユナの頭を通り過ぎていく。


「パンだぞ」

 さっき聞いたばかりの声がする。子供だちは紙袋の方にいっせいにかけよっていく。

「おい、お前達こっちだ」

 ファンリーはユナを先にいかせ、馬の手綱を柱からとり声のするほうにむかった。


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