第19話

「どこだ!どこにいる!!」

「みんな、気をつけて・・・・」

5人が村に着いた途端、妖気が全体に広がっていることを感じた。

だが、村人たちには何も起きていなかった。



「どういうことだ。誰も襲われていないなんて・・・・」

5人より少し遅れて村に入ってきたヨシは思わず呟いた。


「そうですね・・・これはおかしいですね」

「でもみんな感じてるよな?この村の中に妖気を。」

「気のせいなのかな・・・」

と、ケンは首を傾げる。


「そんなはずは・・・」

と、ジュン。


「まだまだ未熟だな。あんた達の能力も俺の事言える立場じゃないんだな」

何故か苛立ちを感じて来たヨシ。


そこへ、

「旅のお方たちですか?どうぞ輪が館へ来てください。今夜の宿にぜひ」

「・・・・そうですね。きょはみなさん疲れてますから。あなたの所で、ありがたく休ませていただきます」


と、ご厚意に甘えることにした。



そして、


「あの?つかぬ事を聞きますが、さっき変なやつらきませんでしたか?」

「変なやつらとは?」

村人たちに聞き返され、


「いや、気のせいですね・・・きっと」


と、ゴウはそれ以上答えずにいたが・・・・


少し違和感を感じていた。

「ねぇ兄さん、もう休みますよ?」


なぜか寝ようとしないゴウに、ジュンが声をかけた。


「もう少し起きてるよ。何があるかわからねぇし」

「あれ?ヨシさんは?しってる?」

「あぁ、あの人なら1人でさっさと自分の部屋にはいっちゃいましたよ。本当に、人と話すのが苦手なんだな」

と、マサさん。


「ところがさ、あの人・・・女王様の前じゃ全然違うぜ?気づいたヤツいる?」

「女王様って、もしかしてレイナ様のこと?」

「俺も気づいたよ。あの人の前だとなんか顔が違うんだよなぁー 。だけど、あの人がヨシさんを変えてくれる人なんだよ、きっと。俺も旅に出る前に約束してきたからさ」


マサは切なそうな顔をして言った。


「必ず生きて戻るってね」

「マサさんはその約束した人が、大切な人なの?」

「そうだよ。結婚を約束した人だ。ケンカばかりだったけど、やっとお互いの気持ちを分かり合えたから・・・・・」


「そっか!すっごくいい話だね!じゃあさ、ヨシさんもそういう人いないのかな。それがあの女王様ならなおさら素敵だね!僕にもこう見えているんだよ?守ってあげなきゃいけない人・・・。だから、絶対強くなって戻るんだ!」

と、ケンはワクワクした気持ちで答えていた。

ケンの決意を微笑ましく聞きつつ・・・

「そう言えばなんですが、ヒロさんは?聞いてる途中でしたっけ?たしか、行方不明の恋人がいるとか」

「えっ?そうでしたっけ・・・。もう、何ヶ月も前の話ですが・・・・」


そういうヒロさんも、せつない顔をした。


「そういう顔をするってことは、その人が大切で、忘れられないってことだよね?」

と、ケンがまた、興味津々に聞き出す。

「えぇ、もちろん。でも、いまどこにいるのかわかりませんから・・・」


すっかり話し込んでいることを忘れている5人は・・・・



「あの・・・・」


「あっ、すいません、起こしてしまいましたか?こんな遅くまで・・・・」

「旅のお方ですよね?」


ドアの前にいたのは、1人の少女だった。

「どうかされましたか?」

「おかしいんです」

「おかしい?何がおかしいんですか?僕らで良ければ話してください」

「さっきまであったんです」

「まさか、さっきの妖気が・・・」

「そうですね、その可能性はあります」

「あのクリスタルで魔物を追い払っていたのですが・・・盗られてとなると」

「なるほど・・・たしかに・・・村を守るクリスタルがなくなれば、皆さんの命も危ないですね」

「どうする?ヒロさん」

「妖気は微かに残っているのに実体がないなんておかしくないか?」


5人は悩んでいた。


そしてその頃ヨシも、眠れずにいて・・・。


「あの妖気が消えていない。それに、村人たちが襲われていない。もしこれが奴らの作り出した世界だとしたら?」


ヨシは、そう考えた。

そしてそれは正しかった。


しかしヨシは安心しきっていた。

彼らには、わかるだろうと。


僕なんかより力あるし・・・・。


「ミュウ!ミュウ!」

「どうした?ミュウ・・・・」


「外が騒がしいぞ?」

「曲者だ!この村に曲者がいる!!」


「きっと奴らはクリスタルを盗んだに違いない!」


「なんだ?何事だ?」


ゴウ達が休んでいる部屋に村人たちが乗り込んできた!


「旅の人達、あんた達がクリスタルを盗んだんだな?」

「どういうことですか?ぼくたは先程その女性からクリスタルがあるばしを教えて貰ったばかりです。」

「そうだよ!この村にクリスタルがあることを初めて聞いたんだ。盗むわけないよ」

「俺たちはあんたたちを助けに・・・・」



だが、村人たちは聞く耳を持たず、


「いいから自分たちの荷物を全部出せ。」


「なんだ?何が起きてるんだ?」

5人は訳もわからず連れ去られてゆく。


「・・・・えっ?」

ヨシは、慌ててしたにおりてみんなを追いかけようとした。


「お前、あの者たちの仲間じゃないのか?」

「えっ!?」

ヨシの目の前に立っていたのは、綺麗な女の人だった。



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