第17話

タネヨシ様から受け継がれた剣は確かに5人の剣に反応していた。

「ヨシさん、あとはあなたが戦う意思を持つだけです!!」

「こんな状態で戦いなんて出来るわけない」


「でも俺たちは戦わなくてはならないのです。そういう運命なのです」

マサさんはヨシさんの方に手を置いて言った。


「・・・・・・」

「まだ、信じられないですよね。父親が目の前で亡くなってしまったんですから」

「きっとその剣が教えてくれるよ。タネヨシ様がよしさんに伝えられなかったことは、きっと剣が教えてくれるはずだからさ」

と、マサさん。

「うん、僕もそう思う。ヨシさんの気持ちわかるよ、今なら。母さんが殺されて、本当はすごく逃げたくて・・・。でも、守らなきゃ行けない人がいて・・・。約束したんだ。強くなって、必ず帰るって」

と、ケン。

「ヨシさん、まだまだおれ達も未熟だ。けど、守りたいものがあるんだ。ヨシさんもきっと気づくはずだ」


というのはゴウだった。

「・・・しばらく1人にしてくれますか?」


と、ヨシさん。


「そうですね。ゆっくり気持ちを落ち着かせてくださいね」


タネヨシ様のお墓を作ってもらい、ヨシはずっとその前で手を合わせていた。


「ヨシさんは幸せ者だよ。ずっと探していた父親に会えたんだからさ」

「探してなんかいない」


ヨシさんと会話をしているのはゴウだった。

「いいや!本当はずっと探したかったはずだ。あんたは心のどこかでずっと会いたかったはずだ。」

ゴウはそれだけ言うといなくなった。

「兄さん!」

「ゴウ・・・・」




「・・・・・・」

ヨシは考えていた。

(そうだ。僕はどこか心の奥で父親の行方を探していたのかもしれない)



ヨシは1人その場からまだ、離れずにいて・・・・


「ミュウ、僕は彼らの言う通り会いたかった。どうしたらあいつらと、親しくなれると思う?・・・・信じられるようになるかなぁ・・・・」


ヨシさんは、そう独り言を言うと、尚も手を合わせ祈り続けた。

父にお礼も言えなかった自分がもどかしくて・・・背後から来る人影に気づかずにいた。



「そこにいるのはヨシ?」


「えっΣ(゚д゚;)」


聞き覚えのある声だと振り向くと・・・・・

そこにはレイナがいた。



「レイナ・・・どうして、ここに」


「誰か亡くなったの?」


お墓を見てレイナは言った。


「あぁ、父さんがね・・・・。最後は僕を守ってくれて・・・」


そう言うとレイナの目から涙が溢れていた。


「レイナ?なぜ君が泣いているんだ」

「何でかな・・・。ヨシの心が伝わってきたからかな・・・・」

「・・・・僕の心?」


「なんか以前よりも優しい顔、してるね」

「そうかな・・・・」

「気のせい?」

そして、話し声がするのが気になりみんなも何故か集まってきて・・・・


「あ、あの時の女王様?」

と、ゴウが発したので


「兄さん!シーっ」

と、口を抑えた。

「・・・・わかってるよ」


俺は、ヨシさんの心の変化を見た気がした。

ヨシさんの心を変えるのはきっとあの方の存在だと。

彼はいずれ彼女を愛するだろうな。

でも、それに気づくのはきっとずっと先のこと・・・・。


2人の様子を見て、みんなが思った。


「・・・・・・」

「・・・・・」

長い沈黙が続いたあと・・・


「ねぇ?ヨシ・・・」

「えっ?」

急に話しかけられ、ドキリとする。

「また、会えるかな」


「さぁ?もうみんなには迷惑をかけられない」

「でもヨシ、あなたは父親から授かったんでしょう?」

「・・・・戦う気などなかったのに」

「まだ、そんな気にはなれないという顔もしている」

「かっこ悪いだろ?男はそうやって生きていくもんだと周りを見てきたから・・・・。けど、僕は・・・僕だけは違うんだ・・・・」


「人は人それぞれ生きていけばいい。ヨシはヨシらしく生きていけばいいと思う」


「レイナ、君はなぜ僕の元へきた。危険とわかっていて、助けたりもしたんだ!もしも・・・・」


君が・・・・


「助けたかった。あなたを孤独から救ってあげたいって思ったの。あなたの声が、わたしに助けを求めたんだよ?」

「えっ?僕の声が?」

「・・・心の声がね。大丈夫、ヨシ。彼らはきっとあなたを支えてくれるはず。」

そうやってにっこりと笑った。


「レイナはほかの女と違うな」


「そう?」

「ありがとう」


初めてお礼を言ったヨシ。


「ミュウ!!」


「それじゃあ、またね?」

レイナは馬に乗り、行ってしまった。


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