第14話 涙に変わるとき

目を覚ます。


俺達は抱きしめ合うように倒れていた。


俺の前には悠季の姿。



「…悠季?…悠季?…おいっ!悠季っ!」



「………………」



「……ん…悠…愼…?」

「大丈夫か?」

「うん…ここは…?」



辺りはお花畑で心地良い風が吹いている。



「分からない。取り合えずここから出なきゃ…ここは…現実の世界じゃないのは確かだ。戻らねぇと」


「どうやって?」

「…それは……」

「それは?」



俺は上を見上げた。


すると、小さい光りがある事に気付く。



≪もしかして……あそこが外の世界…?≫

≪いや…でも…≫



『悠愼っ!目を覚ませ!』



「親父?」


「…悠愼…?どうかした?」

「あっ、悪い…」

「悠愼…」

「ん?何?どうし…」



私は悠愼にキスをした。




次の瞬間、私達は白い光りに包まれた。




目を覚ませば、そこは ――――




【アレ…?モドッテ…キタ…ンダ…】


【デモ…オネエチャンハ…キエタ…】



「えっ…?」


【クスクス……キャハハ…】


【オネエチャン…オニイチャンヲ…タスケル…タメニ…ギセイ…ニ…ナッタ…】


【ボクノ…ナカマニ…ホントウニ…ナッチャッタ……キャハハ…】


【マタ…ナカマ…フエタ…ミンナ…ボクノ…トモダチ…】



「友達?仲間?ふざけんなっ!本当の友達は一緒に笑って、泣いて…馬鹿しあったり…それが本当の友達なんだよっ!!」



【チ…ガ…ウ…】



「何が違うんだよっ!」



【トモダチ…ナカマ…ウラギラナイ…】


【オニイチャン…モ…オネエチャン…モ…トモダチ…ウラ…ギッタ…】



「例えそうだとしても、喧嘩して同じ人好きになって、つるんでいけるのが本当の友達なんだよ!お前みたいに遊びなんかで、沢山の人の命を巻き込んだ小さな子供(ガキ)が、ふざけた事言ってんじゃねぇぞ!」



【オニイチャン…ウルサイ…】



「何を言われようと俺は…悠季を連れて帰る。アイツを助けるんだよ!」



【ドコマデ…タエレル…ノカナ…?】


【クスクス…キャハハ…】



『もう…辞めなさい』

『そうだぞ』


【パパ…ママ…】



俺の視界に見えたのは男の人と女の人の姿。


子供の両親であろうと思われる。




『もう十分でしょう?』

『みんなで向こうの世界に行こう』


【…………】



『さあ……一緒に……』



【ボクハ……ボクハ……】




スーッと、もうひとつの姿が見えた。



「悠季……?」



『パパとママに逢いたくて仕方がなかったのに、事故に遭って逢えなくて辛かったんだよね……』



【オネエチャン……】



『もう…これ以上…お姉ちゃんの大事な人を、仲間を苦しめないで……お願い…』



『………………』



「……悠季……?」



悠季がみんなと一緒にスーッと消えていくのが分かった。



「……悠季……悠季ぃぃぃっ!」



すると、俺の目の前に現れ、両頬を優しく触れられた。




「……悠季……?」



『悠愼……ありがとう……それからゴメンね……』



そう言うと、俺にキスをすると悠季は自分の体に入っていき始める。



「悠季?」




『………………』





"さようなら"




そう言われた気がした。



「…悠…季…?悠季っ!なあ、悠季っ!おいっ!嘘だろ!?目、覚ませよ!悠季っ!悠季ーーっ!」




空からは虹色の粒が降る。




―――×―――×―――×――――×



「…悠季……?」と、友夏。



―――×―――×――×――×―――×



「悠季……ちゃん?」と、功太。




―――×―――×―――×――――×



「悠愼……悠季ちゃん?」と、正矢。

「正矢……。二人……大丈夫だよね……」


と、伊都霞


「ああ……大丈夫…必ず一緒に戻って来るよ」




―――×―――×―――×―――×



俺は悠季をおんぶし、帰り始める。


立入り禁止区域を出てしばらくした所に親父がいた。



「悠愼……良く頑張ったな」

「ああ……でも……」

「悠季さんが助かるか助からないかは、お前と本人の気持ち次第だ。これからが本当の闘いだ」




俺達は一旦、事を終え戻った。



その後、ここは取り壊され、慰霊碑がたてられた






































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