第6話 ゆっくりと・・・

「ねえ、悠季。悠愼君の事どう想う?」

「えっ?どう想うって別に」

「本当に?」


「うん」

「でも悠季助けてもらってるし、良いかも♪ってなったりしていない?」

「うん、なってないよ。感謝はしているけど好きとか、そういう想いはないかなぁ~」


「そっか…」

「どうして?もしかして友夏…」

「うん……良いかな?って…」

「告白すれば?」


「えっ?無理だよ!そんな勇気ないよ。それに悠季が可愛いし」

「容姿の問題じゃないよ。想いは大切だよ。告白してもしなくても自分の思い正直になった方が良いよ」


「悠季……」

「ねっ!」

「うん……」




そして、ある日の事。



「悠季ちゃん」

「あれ?功太君、何して……」



悠愼の神社の階段の所に功太君がいた。



「ごめん…ここ、帰り道って悠愼に聞いて待ってた」


「そう?」

「うん……悠季ちゃん…今、好きな人いたりする?」


「えっ!?」


「悠愼とか…アイツカッコイイし…肝試しには助けてもらってるし…」


「感謝以外に想いはないよ」

「そうか……」

「友夏にも同じような事聞かれたけど…私と悠愼の間柄にはそういう恋愛感情はないよ」

「…ちょっと移動しない?」

「うん良いけど」



私達は近くの公園に移動した。



「ごめん……」

「ううん」

「単刀直入に言うね」

「うん」

「俺、悠季ちゃんが好きなんだ!俺と付き合って欲しい!」



「功太君…」


「ゆっくりで良いんだ。お互い、まだ良く知らないし。返事はすぐにとは言わない。待ってる」


「…ありがとう……功太君…だけど…私と付き合うとなると……毎回外出は出来ないと思う」


「えっ?」


「私……」

「うん」

「椎那家と家族しか知らない秘密があるんだ……」


「えっ?秘密?」

「うん……友夏も知らないし話していないから……聞いても誰も信じないだろうから……」

「何?」



「………………」



「俺……信じてあげるから……話して欲しい」

「……私……生まれつき霊に憑かれ易い体質なの」

「霊?霊って…幽霊?お化けとかの?」

「うん……」

「見えるの?」

「見えない」

「えっ!?」


「見えないから……気付かないうちに連れて帰ったりして……」

「そうだったんだ…」

「うん……」


「悠愼は神社の息子だし、将来は継ぐだろうし…俺達には話していないけど、アイツには見えているんだろうなぁ~って思っていたんだけど……でなきゃ悠季ちゃんを助ける事なんて出来ないから…」


「そうだね……悠愼からも霊に憑かれやすいだろうって言われて……あー、この人見えるのかな?って…だから…肝試しの時、悠愼の姿がないと凄く不安で仕方がなくて……」


「そうか……」


「……でも…それ以上はないから」

「…悠季ちゃん…」



フワリと抱きしめられた。



ドキン



「分かった…だったら外出しなければ良いんだよね。俺、付き合うよ!」

「えっ?功太君…」

「好きな人を守れるなら、俺、付き合うから!」



抱きしめられた体を離す功太君。



「悠季ちゃんを危険な目に遭わせられないから」

「…ありがとう……」



私達はゆっくり付き合う事にした。





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