名作SF短編小説でした

まず最初に読みやすかったです。
一般的なSF小説は独特な、少々堅苦しい表現が多く、情景が分からなくなることがあります。
ですが、この小説では終始読者に分かりやすく、しかし雰囲気を壊さない絶妙な表現力なのがとても好感が持てました。なのでSF小説を読むのは初めてという方にもお勧めです。

ネタバレは避けますが、人間とはいつどのような状況下にあれど、良い意味でも悪い意味でも人間なんだなと思わされました。それは眠りについた人類だけでなく、メトセラの行動、思考からも私はそう感じ取りました。
ラストには心底驚かされました。賛否両論かもしれませんが、私は拍手を送りたいほどの良い締め括りでした。

全編読んでいて色々と考えさせられました。
下村さんの小説は哲学のような要素が散りばめられているのでこの話に限らないのですが。
思考する事が好きな人にもお勧めします。

最後にここで言うことではないのかもしれませんが、もっと早くにこの小説を読むべきだったと後悔してます。それぐらい私にとっては素晴らしいお話でした。

長々と(分かりづらい)感想を述べましたが、この長い感想を一言で言い表すならば「名著だから皆読むんだ」。この一言に尽きます。

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黄金の舟歌