駅と列車と車窓、そして心残り

ta-KC

第1話 プロローグ

行き先を示す電光掲示板

自分が乗る列車があと数分で到着する

それをみて行き先までの切符素早く買い

改札を通る

久しぶりの改札

そして久しぶりの列車

なつかしさを感じながら列車が停車する路線に歩いていく

「ふー、なんか新鮮だな・・・」

切符を握り列車が来るのを待った

僕は今地方都市で仕事をしている

普段は都市部に行くのに車を使うのだが

今回は車の不調があり

またここ数日の雪で道が悪かったので

安全策として列車を選んだ

「うぅぅ、さむっ」

体を丸めて息を吐く

白く広がり消えていく

その光景にどこか既視感を感じる

(なんかここまできているような・・・)

喉元まできている何かにつっかかりを覚え

そんなことを脳裏に浮かべていると

列車は定刻通り路線に入る

音がなりドアが開く

開いた先には人はいないのでそのまま

そそくさと乗り込んだ

車内は閑散としてどこにでも座ることができる

「えー・・・」

キョロキョロしながら窓際の席に駅に来る時に買ったコーヒーを置き

席についた

窓の外を見つめる

すると発車の合図と共にドアは閉まり

スゥ―――ガタ・ガタ・ガタ

ゆっくりと風景が動き出した

ホームを抜けて

ちょっとした街並みを過ぎて

どんどんと街の喧騒が薄れていく

「この度は・・・」

車内に車掌さんのアナウンスが流れた

窓の外は景色が流れていく

「なんかいいな、こんな時間も・・・」

普段車を運転して向かうのだが

こんな風に景色を見ながらのんびりとはいかない

運転に集中していて

景色をみている余裕なんてない

・・・

心地よい揺れ

つい意識が遠くなる

「そういえば・・・」

さきほど喉元に引っ掛かってたものが徐々にあふれていく

あれまだ僕が学生の時

大学に進み新たな環境に飛び込んだ

そんな時だった

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