第15話 オークの巣窟。

ダラックの店を出た俺達はリカルド商会に向かった。

ガッツは余程嬉しかったのかナックルを着けたり取ったりしていた。ラッキーにも何か買ってあげたいが…装備しようが無いからなぁ…。俺がラッキーを撫でてやると嬉しそうに見える。


リカルド商会に行くと店前でアレックスさんが出て来ていた。孫娘が心配なのだろうな…。


「アレックスさん、お待たせしました」


「いえいえ、思ってたよりも早かったですぞ。ではこの手紙をネレイムに…頼みます。」


「はい、預かります。あの…つかぬ事をお聞きしますが…もしかしてネレイムさんて御子息ですか?」


「ええ、カイセルの弟になりますよ」


「あ〜、やっぱり。似てると思ったんですよ。ネレイムさんは名字を名乗らなかったので…」


「ああ、そうでしたか。仲の良い兄弟でしてな。ジェシーもネレイムに可愛がられておるので頼ったのでしょう」


「なるほど…さてと、それでは出発します。必ず届けますのでご安心下さい」


「サルナス様、道中お気を付けて…と言ってもサルナス様を倒せる敵も少ないでしょうが…」


「いやいや、その様な…それでは行ってきます」


アレックスさんも今直ぐにでも迎えに行きたいのだろうな。まあ、手紙を渡せばコレで任務完了だ。サービスは顔繋ぎって事も考えてだが、本当なら王都に連れて帰るなり、レッドロックスまで送るなりと出来たのではと思ったのもあっての事。まあ、事情を知らない俺にそこまでは出来なかったし、時間が無い依頼だったからな。でもコレで俺が納得出来るなら手紙を渡すくらいどうという事は無い。


俺はリカルド商会を出てから途中、土産物屋に立ち寄る。レッドロックスの冒険者ギルドで俺の獲物を精査してくれる担当さんに持って行く為だ。後は如何するか…サリーさんに持ってくか…何度もコケさしたからな…。後は…そうだ、ローラとリリスにも買ってくかな。


土産を買った俺はそのまま王都を後にした。

今度があればだが、もう少しゆっくりとしたいものだな。

道中はやはりメタモルフォーゼし魔獣武装(ビーストアームス)で装着する。

軽くなった馬車は軽快に走ってゆく。これからレイダース、ローザニアを経由してレッドロックスに戻る事になる。


俺達は特に問題無くレイダースに到着した。オークの件が気になっていたので冒険者ギルドに立ち寄る事にした。

この間の受付の人が居たのでオークの件が如何なったのか聞いてみた。すると受付の人は調査隊はまだ戻らないと言う。確かにまだ8日か…それもそうかなと気にせずに宿に向かった。


宿でゆっくり出来たので翌朝は快調に馬車を飛ばした。

それから4日後に例のオークが出没した場所を通りかかる。すると何人かの冒険者らしき連中に遭遇した。俺が声を掛ける前に向こうから声を掛けてきた。


「ここら辺でオークを見なかったか?」


「レイダースの冒険者かい?オークの調査隊かな?」


「おお、良く知ってるな。それなら話が早い。調査隊本隊は森の方を中心に調査してる。俺達はここら辺で見張りをしながら聞いてるんだ」


「レイダースからの道のりでは現れなかったぞ。それより森の方はまだ見つかってないのか?」


「何匹かは仕留めたがな、中々見つからないので巣でも有るのではとしらみ潰しに探してるんだ」


「なるほどね…ありがとう。気を付けてな」


「おう!そっちも道中気を付けてな!」


う〜ん…どうやら苦戦してる様だな。依頼を請けてれば一緒に探してやっても良いんだがな…。


とりあえずそのまま馬車で先に進む。

しばらく走っていると右手の方角から物凄い叫び声が聞こえて来た!間違い無い…オークの叫び声だ。俺は嫌な予感がしたので馬車を停めて叫び声の方向に走り出した。


「グロロロオ!!!!」


オークリーダーが冒険者に襲い掛かっている!!俺は一気にオークリーダーの前に間合いを詰めて『朱刃』を袈裟斬りに振る!

オークリーダーの身体が斜めに落ちて行く。

俺は冒険者達にヒールウォーターを掛けていく。


「す、すまない…助かった…」


「調査隊か?一体何があったんだ??」


「ああ、俺達は調査をしていたのだが、この先の洞窟にオークの巣がある事を突き止めた。そして、中を調べる為に斥候を入れたのだが、その内の一人がオークジェネラルを発見した所で気付かれたんだ」


「オークジェネラルだと?…それは本当なのか?」


「ま、間違いない…ソイツは何度かオーク制圧に関わっているからな…オークジェネラルは何度も見てる。ソイツがオレたちを逃して…」


そう言って冒険者は唇を噛んだ…。


「ソイツは洞窟の中に居るのか??」


「ああ…もう駄目だろう…クソッ!」


「とにかく本隊を呼んでくれ。ここは俺が引き受ける」


「ひ、一人でか?無茶だ!」


「一人の方が動きやすい。早く頼む!!」


「…分かった。死ぬなよ…オレはアーディーだ」


「俺はサルナス、こないだのオークを制圧した一人だ」


「お前が…分かった!ここは頼む!」


アーディーは仲間達と直ぐに本隊を探しに散った。

洞窟の中からワラワラとオークの奴等が出て来ている。俺は入り口まで一気にオークを斬り捨てながら向かう。

やはりオークジェネラルを倒すのが重要だが、簡単には出て来ないだろう。ならばやる事は一つ…襲い掛かって来るオークの殲滅だ。

オークが一斉に襲い掛かって来た。


「サンダーフィスト!!!」


『朱刃』から放たれた巨大な雷の拳がオークの群れにヒットするとオーク達が吹き飛ばされる。負けじとオーク達が襲い掛かって来るが俺は攻撃の手を緩めない。


「ファイヤーフィスト!!!」


巨大の炎の拳が放たれてオークの群れごと焼き尽くす。俺はファイヤーフィストを連発してオーク達を焼き尽くしてゆく。

しかしながらオーク達の戦闘意欲は高いままである。オークジェネラルが統率しているので恐怖を感じてないのだろう。

俺は構わずに襲い掛かって来るオークを斬り捨てて行く。

今度はオークアーチャーやオークメイジを使った遠距離攻撃に切り替えて来たが、こいつ等の動きは”鈍い”ので攻撃が俺に当たる事は無い。万が一当たったとしてもノーダメージは間違い無い。コレはラッキーの持つ付与によるものだ。

頑強な防御力と神速の回避によって俺は守られている。その為にいくらオークが来ようとも俺に触れもしない。攻撃力と速度の差も有り過ぎて、相当手加減してる為に疲れも殆ど無い。

俺は一気にケリをつけるべくオークジェネラルを探しに洞窟の奥に行こうと壁役のオーク達をファイヤーフィストで吹き飛ばしそのまま斬り捨てながら中に飛び込んでゆく。

そこら中からワラワラ出て来るが俺の斬り捨てる速度が早い為に全く苦にならない。


しばらく進むとかなりの魔力を感じたので其方に向かうとオークリーダーが数体やって来た。

間違いない、この奥だ…俺はオークリーダーを全部斬り捨てて中に入る。オークリーダーを倒してる間にも俺達はレベルアップした様だ。


中に入るとオークリーダーよりも遥かにデカいオークが食事中だった…食ってるのは人間…取り残された冒険者だろう。俺を見てニヤリと笑いやがった。

俺は頭に血が上るのを感じながらも鑑定を掛けていた。


種族:オークジェネラル


レベル:58

HP:10688/11790

MP:680/720

攻撃力:10285/6892(+900)《×1.32》

防御力:5530/3524(+900)《×1.25》

回避:2469

幸運:69

スキル:統率、威圧、《鉄壁》、《豪腕》

装備︰将軍の鎧、将軍の斧


レベルが58なのにこのステータスか…攻撃力は1万オーバー、防御力は5500オーバーときてる。中々強いな。このままレベルアップして行くと恐らくはオークロードに進化するのだろう…そこまで行ってたら俺では対処出来なかった。


レベルアップした俺達のレベルを確認。


【サルナス】

職業:魔獣使役(ビーストテイマー)

ランク:D

レベル:106→109


HP:468/476→488

MP:203/207→213

攻撃力:454→469(+2030)《✕1.7》

防御力:393→405(+55)《✕1.2》

回避:126→129(+32)《✕1.2》

幸運:622→637

スキル:魔獣武装(ビーストアームス)Lv3、〔ステータス統合〕、鑑定Lv3、《鱗強化》、《鬼道》、《金剛》、《疾風》、《強奪》、ウォーターボールLv3、ヒールウォーターLv8、シャドーミストLv2

装備:剛腕の腕輪、鱗の兜、鱗の具足、鱗の篭手、鱗の鎧、ハイオークのブーツ、金剛の腕輪、疾風の首輪、剛鬼刀


【ラッキー】

種族:リキッドメタルスライム(進化種)

レベル:1→2


HP:15/15

MP:395/395→445

攻撃力:15

防御力:2918→3918《✕3.2》

回避:2596→3596《✕3.2》

幸運︰254→264

スキル:ファイヤーブレスLv6、物攻耐性LvMAX、魔攻耐性LvMAX、《韋駄天》、《護守羅》


【ガッツ】

種族:ハイトロルメイジ(唯一種)


レベル:16→17

HP:3790/4030→4270

MP:4325/4595→4865

攻撃力:1487→1577(+300→+900)《✕1.35》

防御力:1557→1647

回避:395→417《×1.25》

幸運:62→65

スキル:超再生、状態異常耐性Lv6、筋強化Lv6、ファイヤーフィストLv7、サンダーフィストLv6→7、アイスブロッカーLv9、《オーガの怒り》、《俊敏》

装備:角の首飾り、ウラヌスナックル


ガッツのサンダーフィストのレベルアップは嬉しい。

そして、魔獣武装(ビーストアームス)時、派生スキルのステータス統合でガッツのステを攻撃力極振りにした今の俺の…いや、俺達の総合ステータス。


【サルナス】

職業:魔獣使役(ビーストテイマー)

ランク:D

レベル:109


HP:4773/488【+15】【+4270】

MP:5523/213【+445】【+4865】

攻撃力:14596/469(+2030)【+15】【+4606】《✕2.05》

防御力:14885/405(+55)【+3918】《✕3.4》

回避:13713/129(+32)【+3596】《✕3.65》

幸運:901/637【+264】

スキル:魔獣武装(ビーストアームス)Lv3、〔ステータス統合〕、鑑定Lv3、《鱗強化》、《鬼道》、《金剛》、《疾風》、《強奪》、《オーガの怒り》、《韋駄天》、《護守羅》、ウォーターボールLv3、ヒールウォーターLv8、シャドーミストLv2、【ファイヤーブレスLv6】、【物攻耐性LvMAX】、【魔攻耐性LvMAX】、【超再生】、【状態異常耐性Lv6】、【筋強化Lv6】、【ファイヤーフィストLv7】、【サンダーフィストLv7】、【アイスブロッカーLv9】

装備:剛腕の腕輪、鱗の兜、鱗の具足、鱗の篭手、鱗の鎧、ハイオークのブーツ、金剛の腕輪、疾風の首輪、剛鬼刀、【角の首飾り】、【ウラヌスナックル】


やはりここに来てラッキーのレベルアップがデカい。韋駄天と護守羅の付与とレベルアップ時の恩恵が強烈だな。コレで余裕を持って倒せる。


食事を止めたオークジェネラルがデカい斧を持って俺の方にゆっくりと近付いて来る。その顔は新しい獲物が来たと言わんばかりに嘲笑ってる。

俺は怒りで『朱刃』を握る手に力が入る…イイぜ上等だ、この豚野郎。ニヤニヤ嘲笑ってるその面を恐怖で歪ませてやるよ…。


名も知らぬ冒険者の仇…討たせて貰うぞ!!

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