第2話 鑑定スキル

俺はまさかの鑑定スキルをゲットした。

この鑑定スキルは誰もが欲しがるスキルの一つで、コレがあれば冒険者をしなくとも食っていけるスキルである。ギルドに雇われたり、商人として店を開いたりと汎用性が高い。


「このスキルが有れば引退後は苦労せずに済そうだなぁ…」


冒険者を辞めるつもりもないので引退後の話になる訳だ。さて、早速鑑定してみようと思う。リザードマンの死骸がダンジョンに飲み込まれた後に魔石と腕輪を落としていった。


「腕輪かぁ…早速鑑定してみよう!」


そのまま目を凝らして見てると鑑定評価が現れた。


剛腕の腕輪︰着けるとパワーアップする腕輪攻撃力+30


中々悪くない腕輪だなあ…つか俺って今攻撃力ってどれくらいなのだろう…。などと思っていると鑑定評価がいきなり現れる!


【サルナス】

職業︰魔獣使役(ビーストテイマー)

ランク︰G

レベル︰16


HP︰94/87【+7】

MP:101/27【+74】

攻撃力:62(+30)【+5】

防御力:59(+2)【+652】

回避:28【+442】

スキル:魔獣武装(ビーストアームス)Lv1、鑑定Lv1、【ファイヤーボールLv1】、【物攻耐性Lv7】、【魔攻耐性Lv6】

装備:布の服、剛腕の腕輪


俺は驚いていた…このダンジョンに潜った時はレベル3だった筈だ。つまり、リザードマンを2体倒しただけでレベルが13も上がったのだ。まあ、それまでの俺が弱過ぎなのだか…。


「しかしこの横の数字が良く分からないなあ…」


すると頭の中に『リムーブ』と声がする。俺はその声に従った。


「リムーブ」


すると装着されていたメタルスライムが元の形に戻っていった。メタルスライムはぴょんぴょん飛んでいる。俺はメタルスライムを鑑定してみた。


【…】

種族:メタルスライム

レベル:12


HP:7/7

MP:74/74

攻撃力:5

防御力:652

回避:442

スキル:ファイヤーボールLv1、物攻耐性Lv7、魔攻耐性Lv6


なるほど…右端の数字がメタルスライムの数値そのままである。と言う事は装備した時にはメタルスライムの数値がそのまま俺に加算されるのか…。真ん中の数値は装備した物の数値と言う事になる。スキルを調べると…。


物攻耐性︰物理攻撃の耐性を持つ


魔攻耐性︰魔法攻撃の耐性を持つ


これだと説明が不十分な気がする…鑑定レベルを上げないと詳しく見れないのかな?それにしても防御力と回避の数値がとんでもなく高い…しかも、耐性の効果で防御力は更に強くなるのだろう。なるほどリザードマンがゆっくり動いてる様に見えるし、途轍もなく硬いから攻撃力が少なくても殴ればリザードマンにダメージを与えられたのか。


「そうか、お前のおかげでリザードマンを倒せたのか…ありがとな」


俺が礼を言うとメタルスライムは嬉しそうに跳ね回っている。そうだ、コイツに名前を付けよう。う〜ん…何が良いかな…そうだなぁ〜コイツに出会えたのは運が良かったからだしラッキーにでもするか。


「よ〜し、お前の名前はラッキーだ!宜しくな!ラッキー!」


ラッキーは嬉しそうに俺の頭に飛び乗った。どうやら気に入ってくれたみたいだな。

俺はまたラッキーを魔獣武装(ビーストアームス)で装備してまたリザードマンを倒してゆく。このまま此処でしばらくリザードマンを狩ってレベル上げをする事にした。

トカゲの尻尾切りに遭った奴がトカゲでレベル上げなんて笑えない話だが…とにかく強くなればあんな目にも合わされずに済む話しだ。俺はこのスキルで必ず強くなる。


しばらく歩くとまたリザードマンが出て来た。俺はリザードマンを鑑定してみた。


種族:リザードマン

レベル:25


HP:258/258

MP:25/25

攻撃力:159

防御力:171

回避:56

スキル:剛腕Lv3 鱗強化Lv4


やはりリザードマンはかなり強い。恐らく俺を裏切ったサハリよりも遥かに強い。しかもスキルで強化されるので数値より3割増しくらいになるだろう。それでも魔獣武装(ビーストアームス)を使った俺には及ばない。

リザードマンのゆっくりとした動きでは俺に攻撃は当てられないし、当たったところでノーダメージである。

俺はリザードマンに拳を叩き込む…十何発か叩き込むとリザードマンはゆっくりと倒れてしまう。最初よりずっと早くリザードマンを倒せた。


【サルナス】

職業:魔獣使役(ビーストテイマー)

ランク:G

レベル:16→19


HP:109/87→102【+7】

MP:119/27→33【+74→86】

攻撃力:62→71(+30)【+5】

防御力:59→65(+2)【+652→697】

回避:28→31【+442→478】

スキル:魔獣武装(ビーストアームス)Lv1、鑑定Lv1、【ファイヤーボールLv1】、【物攻耐性Lv7】、【魔攻耐性Lv6】

装備:布の服、剛腕の腕輪


このリザードマンは魔石と兜を落としていった。早速鑑定スキルで調べる。


鱗の兜︰リザードマンの鱗で出来た兜。防御力(+10)


「おお、結構良い物が手に入ったぞ。なるほど、被ると自動でサイズが合うのか」


コレで頭の備えも万全だ。上半身は完璧に防御されてる…後は下半身だが…。

俺はリザードマン狩りに再び動き出した。こうして俺はリザードマン狩りでレベリングを行なって行く。

その後もリザードマンを狩り続けた俺は12体倒した所で飯にする事にした。12体目を倒した時にリザードマンの肉がドロップされた為である。俺はファイヤーボールを使って火を起こした。

リザードマン狩りの途中、結界のある休息ポイントで冒険者の遺品らしいマジックポーチを見つけた。水や食料、ポーションと毒消しも入っていた。準備万端でここに来てリザードマンと戦い倒されたのだろう…結界の中は物が吸収されないので残って居たのだ。本当にありがたい。後はいくつかの魔石とブーツが入っていた。


ハイオークのブーツ︰ハイオーク討伐のドロップアイテム。防御力(+5)、回避(+7)


コレでやっとボロボロの靴からやっと開放される。リザードマンのドロップアイテムには具足はあったとだけど靴が無かったのである。しかし、このブーツを履いていないと言う事はこの冒険者は余程良い装備を着けていたのだろうね。

そんなこんなでやっと飯にありつける。ポーチの食料は緊急用と割り切ってとって置く。ラッキーに肉を食べるかと聞くとラッキーは生えていた魔光石に張り付いて溶かして吸収していた。魔光石が好物なら少しポーチに入れて置くかな。


それにしてもリザードマンの肉は中々美味い。コレならいくつもドロップしてくれたら良いのになぁ…。

これ迄のリザードマンのドロップアイテムは『剛腕の腕輪』『鱗の兜』『鱗の具足』『鱗の篭手』『鱗の鎧』『リザードマンの肉』である。


鱗の具足︰リザードマンの鱗で出来た具足。防御力(+5)


鱗の篭手︰リザードマンの鱗で出来た篭手。防御力(+5)


鱗の鎧︰リザードマンの鱗で出来た鎧。防御力(+30)


そして鱗シリーズを全て装備すると《鱗強化》のスキルを発動し、俺自身の防御力が1.2倍に跳ね上がるのだ。コレは魔獣武装(ビーストアームス)をしている際にも適用されるので恐ろしい防御力になるのである。


【サルナス】

職業:魔獣使役(ビーストテイマー)

ランク:G

レベル:19→24


HP:134/102→127【+7】

MP:141/33→43【+86→98】

攻撃力:71→86(+30)【+5】

防御力:65→75(+55)【+697→742】《✕1.2》

回避:31→36(+7)【+478→514】

スキル:魔獣武装(ビーストアームス)Lv1、鑑定Lv1、《鱗強化》、【ファイヤーボールLv1】、【物攻耐性Lv7】、【魔攻耐性Lv6】

装備:剛腕の腕輪、鱗の兜、鱗の具足、鱗の篭手、鱗の鎧、ハイオークのブーツ


防御力は《鱗強化》のスキル補正が入るので計算上は75+55+742✕1.2=1046でなんと1000超えを達成してしまった。

回避も36+7+514=557という高い数値である。当分はダメージとは縁の無い狩りが行えそうだ。

それにしても不思議に思っていた事がある、それはドロップ率が高過ぎないか?と言う事だ。全部で15体しか狩って無いのに既に6つもドロップしている。いくら何でもこのドロップ率は異常だ。恐らくは鑑定でまだ見えない何かがある為なのだろう。


食事をすると何だか眠くなってしまった…結界の中で意識が遠のいた。

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