第4話 ゲームへの扉

 実行委員会と書かれた腕章をつけた女子生徒が、

 集合場所に指定されている教室の前で俺たちを止める。


 彼女が持っていたのは手作りされた正方形の箱だ。

 真ん中に穴が開いており、手を入れて中にある折り畳まれた紙を取れと言う。


 高科、俺、と順番に引いて、


「確認は一人ずつ、この教室でお願いします。

 入ると中にもう一つ扉がありますので、その奥が、参加者が一堂に会する部屋となります」


 促された高科が、


「じゃ、また中で」


 おう、と手を上げて、順番を待つ。


 やがて女子生徒に促され、教室に入る。


 空き教室、と言うだけあり、内装は毎日過ごす自分のクラスと変わらない。

 ということは奥の部屋もそうだろう。

 ま、生徒主催の学園イベントなのだから、

 小さい規模の学園祭の出しものだと思えばいいのか……。


 いざ自分が参加するとなると、色々と気になって仕方がない。

 他人がやっているのをただ見ているだけだと、内装になんて目がいかなかったのに。


 無理もないが、かなり緊張してるな……、畳まれた紙を開くのにも一苦労だった。


「これは…………」



 さて。


 俺の役柄がこれで決まった。


 後は、どういう謎が指示されるか、だ。


 奥の扉を開ける前に、一度、深呼吸をする。…………よし。


 いこう。



 扉が開かれる。


 謎解き脱出ゲームのスタートだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る