第4話 夜空と千佳と板挟みの.....?

1時限目から俺は同級生に殺されそうになった。

家庭教師で美少女の教師をしているという事で、だ。

周りの奴らに.....嫉妬の目で見られて、である。


俺は説得するまでに相当な時間を費やした。

全く.....そんなやましい事は起こらないっての.....。

思いながら俺は授業が終わってから草薙さんの家に向かった。

それから俺は.....雪さんに会う。


「こんにちは。雪さん」


「はい。今日も宜しくお願い致します」


「.....あれ?今日はお母様は.....」


「今日は母も父も仕事です。伝言を預かりました。.....今日は居ませんが娘を宜しくお願い致します、だそうです」


「.....それはちょっとマズイというか.....大丈夫かな」


いやいや駄目だろ。

年頃の娘と一緒に大人が居ない家で勉強を教えるなんて.....。

しかもよりによって今日か.....。

だがその様子に、信頼していますから、と雪さんは俺に笑みを浮かべた。

俺は、でも.....、と少しだけ慌てる。


「じゃあ先生は私に何かするんですか?.....そんな事は無いですよね?」


「.....まあ無いけど.....でも.....」


「良いですから。入りましょう。今日も宜しくお願い致します」


「.....わ、分かった。それじゃ.....失礼して」


それから家の中に入る。

そして俺達は早速、雪さんの部屋に向かった。

それから.....俺に小テストを見せてくる。

俺は、お、と思いながら小テストの結果を見た。


「.....点数上がったね。雪さん」


「そうです。上がりました。それも全部.....山寺先生のお陰です」


「.....そうですか。.....良かった.....でも上がって。俺の教え方は大丈夫かなって思ってたから」


「何も悪い事無いです。良い先生ですよ。.....山寺先生は」


「.....有難うな」


はい、と返事をする雪さん。

それから.....柔和な顔になった。

だが直ぐに顔を顰め始める。

ん?どうしたんだ。

俺は首を傾げてから雪さんを見る。


「.....山寺先生。.....その」


「.....どうしたの?」


「えっと聞いたんですけど.....山寺先生はお見合いするんですか?」


「.....ち、違うよ!?お見合い!?」


お見合いってどういう事だよ!?

俺は愕然としながら雪さんを見る。

雪さんは、でも.....夜空ちゃんから聞きました、と答えた。

俺は目をパチクリしながら、ち。違うよ、と言う。

何だってそんな事に!?


「確かに俺はパーティーに参加するって言ったけどお見合いじゃ無いよ。かなり誤解があるよ」


「.....そ、そうなんですか?.....良かった」


「え?良かった?」


「あ、な、何でもないです!」


雪さんは真っ赤になりながら首を振る。

俺は首を傾けながら.....雪さんを見る。

雪さんは、さ。さあ早く.....お勉強しましょう!、とやる気をいきなり見せた。


そんな姿に、お。おう、と返事しながら答える。

それから雪さんと共に勉強を始めた。

何だか荷が軽くなった、的な感じに見える雪さん。

どういう事なのだろうか。


「じゃあ分からなかったところを重点的にやろうね」


「そうですね。分かりました。頑張ります」


「.....じゃあ先ずは数学から.....」


そうして俺は教えていく。

何だか雪さんは緊張をしている様に見えるが。

俺は更に謎が謎を呼ぶと思いながらも。

集中をし始めた。



「今日も有難う御座いました」


「テストも勉強も頑張ったね。雪さん」


「はい。有難う御座います」


3時間程、勉強してから。

終わり俺は雪さんに見送られながら靴を履く。

それから顔を上げた。

柔和に笑みを浮かべる。


「あ、あの。山寺先生」


「.....何だい?」


「これ、受け取って下さい」


「.....何これ?.....メルアド.....!?」


「は、はい。個人間の連絡はマズいですが.....勉強ならって思いますから」


雪さんは是非、と俺に必死めいた感じを見せる。

俺は少しだけ困惑する。

困ったな、受け取って良いものだろうかこれ。

考えながらも.....そのまま受け取り。

まあ隠せば問題無いかな、と思いつつ内ポケットに直した。


「分かった。でも.....あまり連絡は出来ないよ?そんなに親密にしちゃ駄目って会社からのお達しだからね」


「は、はい。大丈夫です」


「.....じゃあね。雪さん」


「はい!」


満面の笑顔で見送ってくれた雪さん。

それから.....俺はその姿に手を振りつつそのまま外に出た。

そうしてから.....胸ポケットを触ってから。

後で登録しよう、と思いつつ歩き出す。

そして車に乗った。



「雪さんの点数が滅茶苦茶に上がったのは嬉しかったです」


『流石、見込んだだけあるね。君は。有難うね』


「いえいえ。こちらこそ有難う御座います」


『君ならこれから先も任せられそうだね。有難う』


会社から退社してから定時連絡を大谷さんにする。

俺は苦笑しながら、有難う御座います、と大谷さんに話した。

それから俺は目の前のパソコンの問題を見る。


大谷さんは、君の様な好青年ばかりがこの世の中なら良いだけどね、と笑顔を浮かべた様な言葉を発する。

俺は、ですね、と答えた。

それから、では失礼するね、と大谷さんは電話を切る。


「.....」


好青年、か。

昔は.....鋭く刃物の様に尖っていて違ったんだけどな。

そう言われて何だか俺も嬉しい気分だ。

思いつつ俺は大学の勉強をし始めてから課題を作っていた。

すると。


コンコン


「夜空?」


「そうだけど。定時連絡して」


「.....定時連絡ってお前。.....そうは言ってもな.....」


「知ってるんだから。.....メルアド交換したんでしょ。言われたから」


まるで会社だなここは。

しかし雪さん.....話したんだな。

思いつつ俺は苦笑いを浮かべながらドアを開ける。

そこに夜空がホカホカな感じで立っていた。

風呂上がりの様だ。


「.....雪とメルアド交換したからって如何わしい事をしないでよね」


「しないって。.....俺がそんな顔に見えるか」


「.....見えないけど。でも念の為」


「やれやれ」


そして相変わらずと言えるが夜空は俺の部屋に入って来る。

そういえば昨日は何で飛び出して行ったんだ。

思いつつ夜空を見る。

話すタイミングが今しか無いのもあるから、だ。


「夜空。お前何で昨日は飛び出して行ったんだ」


「.....別に。良いでしょ。女の子には秘密が有るんだから」


「.....いや、お前。.....まあ良いけど」


「.....追及したら嫌うから」


頬を風船の様に膨らませて横を見る夜空。

それは困る。

折角ここまでやって来れたのに。


思いつつ俺は追及を止めた。

その時だ。

電話が掛かって来た。

また健介だろう、と思う。


「.....すまん。夜空。また電話出て良いか」


「良いよ」


「.....すまんな」


そして画面を観てから俺は驚く。

誰かと言われたら.....速水だったから、だ。

あまり電話とか掛けてくる存在では無いので、だ。

俺は電話に出てみる。

そして、もしもし?、と話した。


『も、もしもし?速水です』


「どうしたんだ?速水」


『な、何でもないけど.....その。今度の合コンの話.....がしたい』


「は?合コンの話?」


その事に.....ムクッと何故か夜空が起き上がった。

それからジト目で睨んでくる。

な、何だ.....何でこんな目をしている。

俺は冷や汗をかきながら速水に、迅速に話してくれ、と言う。


『何で?.....もしかして忙しい?』


「そ、そういう事じゃ無いけど」


『じゃ、じゃあ良いよね。私、どんな服装が君に良いと思う』


「え?いや、その話は友人としたらどうなんだ」


もー。鈍感。

と呟いた気がしたが。

聞こえなかった。

俺は睨まれる中で青ざめながら話す。

何でこんなに睨まれているんだ俺は.....。


『とにかく。どういう服装が良いの。君は』


「.....どういう服装.....可愛い服装?」


『なるなる。可愛い系ね』


「.....速水。また明日でも良いか。ちょっと胃痛がする.....」


『.....えー?誰にも聞かれたく無いんだけど』


何でそうなるんだよ。

勘弁してくれ。

これ以上は俺の胃が持たない。


思いつつ俺は、夜空。睨むな、と小声で提言した。

だがズイズイと接近してくる。

ハーブの良い香りが俺の鼻を通して匂ってくる。

いかん。


「イスカ。アンタ誰と話しているの。男?女?」


「.....それを聞いてどうするんだ.....?」


「.....イスカ.....女?男?」


「じょ、女性です」


ふーん.....、と俺をジト目で見てくる夜空。

その事に.....何かを察したのか速水がこう言ってきた。

今誰と話しているの?、と、だ。

俺は追い詰められていく感じがした。


「義妹だが.....それがどうしたんだ」


『アハハ。義妹ちゃん?そうなんだー。うん。そうなんだー』


「.....」


俺はその場から逃走した。

余りの事に、だ。

あ!逃げるな!イスカ!、と声がした。


俺は逃走してそのまま、速水!また明日!、と速水に話し、あ、ちょ!、と声がする中で電話を切る。

そのまま振り切る様にコンビニに逃走する。

すると.....コンビニに見知った顔が居た。


「.....あれ.....」


「.....ゆ、雪さん!?」


「ぐ、偶然ですね!」


雪さんが笑顔で嬉しそうに近寄って来る。

何だか.....今日は女の子によく出会うな.....。

俺は思いながら苦笑。

そして.....俺は少しだけ身を引いてしまった。

いや、雪さんが嫌いって訳じゃ無いのだが.....その。

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