第23話 出逢い ②
ここは
「事情 …… 話してくれるかい?」
一枚の布団の上にその子供を寝かせ、イチは横に正座で座り込み、決して
「 …… あぁ」
その子供は上半身を起こし、辺りを見渡し終えると、口を開いた。
「まずは …… これは一つの感謝だな。有難う」
イチは驚いた様子だった。先ほどまで悪態極まりのない、礼儀も
「セフェクだ。名はセフェクと言う」
「…… あ、僕は百万 一与。イチとよく呼ばれるよ」
「そうか、イチ。悪いが2つ尋ねる。まずはそれに答えてくれるか?」
「わかった。じゃぁ、君が全て話し終わった時に、僕は一つ訪ねるから、それに答えて。」
「いいだろう。一つ目だ。オレはお前達と出会う直前まで、手に握っていた果実があった。覚えはねぇか?」
「果実 …… ? 果実かは分からなかったけど君が気を失った時、手元からコロンとツルツルの玉のようなものが落ちたんだ。大切なものだと思ったから枕元に置いておいたよ。ほら、そこに」
イチは、セフェクの枕元を指差し、セフェクも振り返り確認する。
「そうか …… 」
セフェクの口元が一瞬緩んだように見えた。
「2つ目だ。これから恐らくイチの常識を大きく超えた話をする事になる。が、今現時点で、これからの話を信じると言えるか?」
話す前に信じろというのは中々に奇妙な話だが、セフェクはイチをジッと見つめ、その目には真実を語る事以外を疑わせない輝きがあった。
「信じるよ」
イチの返答は早かった。
「うまく言えないけど、何か僕に害を為す気なら、こんな回りくどいやり方は選ばない。何よりも僕の常識は数日前に根本から崩れたんだ。全くのゼロになったんだよ。それからはとにかく自分で見たものだけを一つづつ信じていき、一つづつ確かめていこうと決めたんだ」
「っは! 良い返答だな」
セフェクはイチの方に半身を向けたまま
「トトっ!」
「はいぃぃっ!!!」
枕元に置かれていた
——
「なっ! 何それっ!」
イチは今までに見たこともない生き物が、突如として目前に現れ、瞬時に、突然の危機から身を
「な …… な ……
イチは少しづつ様子を見ながら4〜5mほどセフェクの元へと戻っていく。
「はい、自己紹介が遅れました。私はトトと申します。セフェク様のお世話役で御座います。同時に、指示があるまで
「ひゃ …… ひゃくまん …… い …… ちよ …… で、です …… 」
イチは無理矢理にでも、冷静さを装おうとしていた。
「セフェク様共々、飯無し宿無し金無しの身ですが、宜しくお願い申し上げます」
挨拶をしながらも、トトの体(実)がフワフワと浮き始める。
「はっはー! 現実は受け入れられたか?」
「い …… やぁ …… (浮いた?)」
「オレもな、まだこの形のトトには慣れてねぇんだわ。体(実)浮いてるぞ、お前」
セフェクはトトの方を見て、笑いを
「はい、この体(実)になってから、不思議な感覚ですが、周りの自然の濃縮
「はっはー! なんだか楽しんでるんじゃねぇか? その体(実)をよぉ」
「えっと、二人で専門用語織り交ぜて盛り上がらないで …… こっちは突然の事が多すぎて、まだ頭が追い付いていないのだから …… 」
「おお、わりぃわりぃ。本題だな。まずは
「かしこまりました」
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