第2話 百万 一与 ②
「なんだか今日は気が進まないんだよなぁ …… 」
——
「珍しいね、いつもならオレより先にジンタマに向かっているのにね。ほら、歩いて歩いて」
イチと
イチはいつもなら自分より少し早く着きながらも、
「やっと鳥居だよ、ここからも長いのに大丈夫?」
「むぅ〜 …… 」
どう建てたのか想像する事すら止めざるをえないほどの、天からそのまま落ちてきたかのような巨大な
その中心には、これまた向こう側を探す事を諦めさせるような大きな池があり、そこには右手の山から合流する川が差し込んでいる。
その海とも錯覚させる池の更に中心には、周りからの繋がりもなく、独立した
社はひときわ特徴的な造りで、樹齢の想像すらつかない
融合と表したのは巨木の上に建てたというよりも、社の周りを巨木が
辺りの自然とも見事に調和しており、初めてこの社を見たものは声帯自らが自然と震え、言うまでもなく『美しい』という音が自然に発せられる事であろう。
その巨木に面する一番下の社からは、独特の抑揚をつけたリズムで重低音にも似た
社の内部には部屋が規則正しく秩序的に並び、一部屋に
いわゆるこの世界での学舎ではあるが、読み、書きなど基本の他に、一部この世界を語るに重要で特異なものが含まれる。
それは
この世界には科学や物理法則ではおよそ説明のつかない現象が古くから認められており、未だ原理原則の解明を終えていないが、世界を
その内確認できている一つの傾向が、およそ十二〜十四歳頃を境に、この
もちろん、それぞれ国家の
今はまだジンに目覚める者は少なく、認められればその一家は安泰とまで言われ、国民からも絶大な信頼を得られる国家職につく事となる。
「 …… ふぅ」
イチとハレヒメは無事に到着し(イチはいつも通りの時間だが)、学舎で二限目の学びを受けていた。
「小僧ども集中できてるか? 一日一歩でも成果を出せよ! 目をつぶっているからって、頭の中で昼飯の献立想像してんじゃねえぞ!」
乱暴な口調で、見た目も
実際に、背中には張り付くでも離れるでもない大きな
「あぁ面倒くせぇな! そのままお前ら昼飯に集中してみろ! 要は集中出来れば何でもいい訳だからな! 体に散らばる想いを胸の中心へ集めるイメージだ! お前らの好物への想いを一箇所に、超極限的に圧縮しろ! これは腹が減るから丁度いいな! はっはっは!」
教職者として大切な何かが欠如している気はするものの、
「なぁ兄貴ぃ …… ジンってどうなったら発現したって言うんだ?」
朝食の緩みからか気が乗らないのか、うっかり一限目の学び中に眠り落ち、そのままイチが受ける上級生クラスの二限目が始まってしまい、居場所を求めて横に潜り込んでいた
「 …… よく、今日まで乗り切れてこれたね」
イチは
「ジンは読みか書きなど法式を用いて、散らばりの力を
「そうだよな …… 知ってる。合ってる。法式なしではジンは発現されないよな?」
「自然現象以外ではそんな事起き得ないよ。話してるとカイエンに見つかるよ?」
「そうなんだけど …… じゃあさ、目の前に現れたこれは何なの?! この状況全くエンプティオーラがよめない!」
——
イチが慌てて目を開けると、クラスに差し込む陽の光に
「中に何かいるっ!!!!!」
それを間違いなく一番近くで見ている
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