第34話 12月24日

12月24日


兄貴は昼過ぎからライブやパーティーの準備があると早くから家を出ていった



たなりゅーからメッセージアプリが入っていた


「来ましたね」


一言



プレッシャーかけないでよ


はあ、とベッドに転がる


ハルさんとお昼を食べてブラブラして夕方ライブハウスに向かう予定でいる


肩掛けのショルダーポーチにスマホと大事なものをしまって


いつも以上に身なりを整えて


ああ、なんだ


これ、気合い入れてますみたいな感じ


変な感じがする



ちょうど昼前頃インターホンが鳴りハルさんが迎えに来た


インターホンが鳴る前から単車の音で分かってたけど



玄関をあけて僕はフリーズした


いつものハルさんじゃなかっ


いや、失礼な意味では決してない


もちろん、ハルさんは女の子


容姿がぶっ飛んだハイレベルな年上の女の子


今日は更にだった



普段の少し気を張ったオーラみたいな感じもなく、何よりメイクや服が完全に女の子


いつも女の子の着る服を着てるんだけど


一気に緊張が走った


「お、お待たせっ」


本人も重々意識してるのだろう


普段自分が着ないような服を着てることを


「あ、いえ、全然。僕も今支度終わったとこなんで」


どう触れていいものなのか分からなく、挨拶にだけ返答した


いきなりファッションに言及出来るほど、僕の引き出しはないし語彙力も混み混みで、ない


「雪ちゃん今日ちょっと髪いつもよりいじってるし、なんか服も違うね?」


歳の差、経験の差、上手い事ハルさんからキリ出てきた


「えーまぁ、たまには少しオシャレしてまようかな、なんて」


無理がありすぎる


たまには、が、よりによって今日って


気分でー、みたいな言い方してみたけど、無理があり過ぎた



「ハルさんもちょっと普段と違いますよね、雰囲気違って見えるし、その、凄い似合ってます」


返すタイミングは今しかない


なんとか言えた



あれ?



下向いて真っ赤になってるハルさん



え、僕なんか不味い事言ったのか


「良かった。。。変だったらどうしよって結構悩んだんだ。たまには女の子らしくしようかなって、、。」


またハルさんも無理がある事を


たまにはが今日って、2人揃って



今日だから気合い入れました


って言えずに始まった12月24日

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