ハルシオンとキャンディデイズ

みなみくん

第一章 出会い

第1話眠れない夜とクラブ


あぁ、今日も眠れない


少しうとうとしてすぐに目が覚めて、時計を幾度と無く眺めてれば朝が来て、寝不足の気怠い体で学校へと向かう


寝不足の毎日に、進路に、将来に


全てに対して前途多難な17歳


もれなく絶賛低空飛行中



グレてるわけじゃないけれど

親に内緒で入れた左腕のタトゥー


大学生の兄貴の学生証を借りて、眠れない夜に逃げ込むクラブの喧騒


余り両親に負担はかけたくないから、バイトには勤しむ日々


今、目の前事しか見えないし、それをこなすのに一杯一杯で、やる気なんて起きやしない


なんとかこなして、最低限学校へ通えてるけれど


いつ行けなくなる事やら


この先の事を真剣に考える煩わしさから目を背ける為に適当な大学に逃げて先送りにする事もできるけど、高校1年から一人暮らしさせてもらって、親にこれ以上迷惑や負担をかけたくない


なんの考えもなく進学は自分の中では選択肢から外す


かといってしたい仕事があるわけでもない



寝不足のぼんやりとした頭に眠気覚ましの音楽を流し込みながら今日も満員電車に乗り学校へ向かう


それとなく過ごし、クラブ活動をするわけでもなく


バイトへ向かい、賄いで夕食を済ませて家に帰る


週末時々1人でクラブへ行く


そんな繰り返しの毎日


少なくとも平日はそうだったけれど


今日はバイト先で私服に着替えて学校のバッグをロッカーに押し込んで


新宿駅で降りて歌舞伎町へと向かった


初めて平日にクラブへと向かった


明日は学校を休もう


急に襲ってきた現実逃避を手放しで受け入れて、スムーズに行動に移した



流行りの洋楽やジャンルが流れる喧騒の中


ジンジャエールを傾けて


端っこでぼんやりとする


元々クラブやライブハウスとかが好きってわけでもないし、そもそも騒がしいのが好きなわけじゃない

一時期、入り浸っていた過去の習慣


真夜中、ぼんやりとして、その感覚に頭から足まで全身包まれる

そこにこんな場所で音楽を流し込むと丁度良く感じるだけ


暗くなりすぎず、妙にハイになる事もなく落ち着く


そこでひと時を過ごして家に帰ればリフレッシュになる

決して、騒いで踊るだけがクラブの過ごし方ではないと思う

とある映画の主人公はクラブで落語聴きながらぼーっとしてるくらいだし


在り方は人それぞれだよね




週末と違って平日のクラブは客層がいつもとは違うように感じる


人の数も違う


だからだろうか



彼女が僕に気づいたのは




「楽しそうじゃないねー?」



突然声を掛けられて驚いた

不意に目の前に現れて声をかけてきた人物


それはクラスメイトの知った顔だった


知った顔と言っても、対して仲の良い友人も居ないから知った顔と言うには少し誤りがあるかもしれないが


会話はした事ある程度のクラスメイト



足立桜(あだちさくら)が


目の前に居た



彼女を認識するのに少し時間がかかった


少なくとも自分が知る限りどちらかというと優等生に入る彼女と、この新宿のクラブ


それが咄嗟に一瞬で結びついて、一瞬で彼女を認識するに至らなかったから



「え、足立さん?なんで?」


話しかけられた内容をフルシカトで僕は驚きをそのままに向けた



「なんで?は、あたしの台詞でもあるけど。

十条君、クラブ行く人だったんだね。てかそれお互いに今思ってるかっ」


彼女は笑った


唐突なこの出会い


この日この時、出会っていなければ


僕らはどうなってただろうか


今も思う



レビュー、★等宜しければお願い致します、励みになります、、m(_ _)m


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る