風太と龍神たち

米元言美

空が飛びたかった少年

風太は,とても幼い頃から,空が好きだった。空だけではなく,空を飛ぶ鳥や虫,飛行機のような乗り物にも興味があった。


「鳥のように空が飛べたら,どんなに気持ちいいだろう!」

自分も空が飛んでみたいと思った。


本を読んでも,テレビを見ても,学校に行っても,空に関連する話題にしか感心がなかった。


風太の親は,大きなれば,空大好きな時期が過ぎ,他の物事に関心を示すようになると期待したが,その期待は裏切られた。風太は、十二歳になっても、空以外のものに目を向けないままだった。


風太は,家でも,学校でも,周りに叱られてばかりいるから,ちっとも楽しくない。好きなものに熱中して何が悪いのか,どうして興味のないことについて勉強する必要があるのか,納得が行かない。


「みんなは,どうしてここまで僕を責めるのだろう?どうして,わかってくれないのだろう?放っといてくれたらいいのに…。」


風太は,ある日,朝から叱られ,疲れて,まだお昼前だというのに,眠ってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る