第12話 ナリス、堕ちていく

属性竜に勝ったのも束の間、皆は喜んでいるが、私はそれどころではない。

急いでイシリスさんにある約束をとりつけにいく。

『あの、イシリスさんいきなりですみません。今度どうしても相談したいことがあるので、

 会ってくれませんか?』

☆いいわよ?ナリスちゃんね!じゃあ今度お茶菓子店で会いましょ。

 そうねえ、明後日でいい?

『はい!ありがとうございます』

イシリスさんに約束ををとることに成功し、私は緊張を押し隠し、明後日を待った。


   ~明後日~


『すみません、来て頂いて』

☆ああ、この位、話って言うのは何?

『えーとですね、その、イシリスさんがルッツォに介抱してるのを見て、

 その、イシリスさんは包容力があるなと思って』

☆??

『あの、その、どうすればそんな魅力が出せるんだろって、、、』

☆あー(納得)

 つまりナリスちゃんはルッツォさんの気が引きたいと。

『、、、はい、、、。』

☆うーん、、、。そうね、まず私とナリスちゃんでは姿形が違うのは、

 わかるわよね?

『はい、残念ながら}

☆この姿形で他の人から求められるものが違ってくるのよ。

『、、、。』

☆私の場合は、背が高くて、キレイ系?

 ちょっと自分で言うのは恥ずかしいけど、背が高くてキレイ系だから、

 他人からはこれから連想されるイメージをもとめられるの。

☆で、そんなキレイ系の私がカワイイ系のことをやったら、

 イメージとかけ離れすぎて、他人からすごく引かれてしまうの。

 ナリスちゃんの場合、背が少し低くて異邦人系で色白だから、

 異性からはどこか上品に見えちゃうの。

『そ??う、、ですか、、。』

☆うん、だからまず、自分のできることとできないことがあることを

 知ることが第一ね。

『な、、なるほど、、、』

☆でね、色々練習しようと思うんだけど、いきなりルッツォさんにやったら、

 頭おかしいんじゃないかと思われちゃうから、まずは、

 ハールさんで試して、その経験をルッツォさんに生かしていけばいいと

 思うわ。

『な?!?!なるほど、、、。』


☆で、ナリスちゃん見ることは意識出来るみたいだけど、

 見せる、見られることには無頓着ね。

『それは、、。』

☆まずは、服ね!!

『(気のせいか、私よりイシリスさんの方が乗り気なような)』


   とある転生者の~洋服店~


『どんな服が良いのか皆目見当が』

☆まかせて、もう決めているわ。

 まず、スーパースキニーの八分丈ジーンズに、黒の太めのヒールを合わせて、

 上を白の七分袖のカッターシャツにしましょ。これが鉄板よ。

『何か、清潔感がすごいですね』

☆そう、これでルッツォさんも見てくれるから、まずは見られることには慣れていきましょ。

『はい!!』


   ~ハール~


『ハール、おはよ』

〈おはようございます、ナリスさん〉

『今日は何も予定無いから暇だね』

〈はい、暇なんで何しようか迷いますね〉

『うん、私は買い物行ってくるね』

〈はい、いってらっしゃいです〉


~イシリス~


☆どうだった?

『何か下ばかり見てましたけど時々チラチラ見てくれたような?感じです』

☆そう、その感じ!早速ルッツォさんに見せるわよ!

『はい!』


~ルッツォ~


『ルッツォおはよ!』

《おはよ、ナリス》

《あれ、今日感じ違うね》

『ちょっと変えてみた!』

《清潔感ハンパない。》

『そう?ちょっと私なんかが着ていいのかなって思うけど。』

《全然、全然、いいよ!めっちゃ似合ってるよ。》

『何か恥ずかしいな』

《あはは》


   ~イシリス~


『見せてきました!!』

☆どうだった?

『似合わないかなって言ったら、似合ってるって言ってくれて

 楽しかったです!!』

☆そう。よし!!じゃあ、第二段階ね。

『はい!!』

☆今度は、目を合わせて、10分位話してみましょ。

『??』

☆これは、話すことに意味があるんじゃなくて、目を長い時間合わせることに

 意味があって、だんだんとつきものが落ちてくみたいに目を合わせあった

 二人とも、表情が緩んでくるの。

 一種の視線のスキンシップね。

『でも、私、あまり自分から話すのは苦手で、10分も何話したらいいか』

☆そこは、話すために色々やったり、行ったりするの。

 今朝の朝食は何を食べたとか、こんなお店に行ってこういうデザートが

 美味しそうだったとか。

『わ、分かりました。行って来ます』

☆がんばってー。☆


   ~ハール~


『この前、ウィザード通りの洋菓子店に行ったの。』

〈ああ、あそこですね。〉

『うん、そこのチョコレートケーキを買って食べたら、美味しくて』

〈あそこは有名ですからね〉

〈(何か、今日のナリスさんは、すごくこっちを見てくるな。

 僕に気があるのかも。ちゃんと紳士に対応しよう。)〉


   ~ルッツォ~


『ルッツォ、昨日、セレクト通りの洋服店行ったら、

 人がいっぱいいて、疲れたよ』

《あそこ、人がいっぱいいるからな》

『(くぅ~、ルッツォと目を合わすのは恥ずかしい~、

 けど、頑張ろう)

 もうホント大渋滞で、洋服見るどころじゃなかったよ』

《ぎゅうぎゅう詰めだろうに、疲れた?》

『すっごいつかれた!!(何か目を合わせるとルッツォの

 表情がすごい柔らかくなってきた、いいな)』


   ~イシリス~


『やりました!!』『目を合わせて話せました』

☆やったわね。それじゃあ、次の段階ね。

 今度は、ナリスちゃん今の格好、異性の目を引いちゃうみたいに

 カワイイから、その見られてる目の前で、少しイチャついてみなさい!

『えと、、、というと?』

☆例えば、見られてる異性の方を逆に見ながら、ハールさん?

 ルッツォさん?の腕を軽く両手で触るとか。

『(どうしよう、、、何か変な方向に行ってる気がするけど、、、やるしかない!!)』

『イシリスさん!!私やります!!』

☆いってらっしゃい!!☆


   ~ハール~


『ねえねえハールあれ見て、凄い』

〈(おあ?!腕触ってきた?

 これは、もう気があるよなあ、と、とりあえずちゃんとしないと)

は、はい、凄いですね〉


~ルッツォ~


『(あ、あの男の子こっち見てるよね。今がチャンス。)

 今日、良い天気だね、ルッツォ、あっち行こ!!』

『(くぅ~、は、恥ずかしい、これ嫌われないよね、

 今になって心配になってきた)』

《あ、ああ、行こうか》

《こんな天気いいと、だらけてダメな人になりそうだな》

『ダメ人間2丁追加だね!』

《あはは》


『(まだ、あの男の子こっち見てるよ。こ、これはイケないことと分かってるけど、

 た、楽しい、、、。)』


~イシリス~


『イシリスさん何とかやり遂げました』

☆そう!!どだった?

『すっごく楽しかったです!!!』

☆よかった!!じゃ、また今度も違うことね。

 今度はルッツォさんを見てる女性でそれをやるの。

『(これ、怒られないかな、、、でも、もう私も後には引けない、、、

 やるしかない!!)』

『分かりました、早速行って来ます』

☆ファイト☆


   ~ハール~


『今日のハール、カッコイイ系?』

〈ふふ、今の僕は一味違いますよ〉

『じゃあ、いつものハールは?』

〈あの、その、多分普通にカッコイイです〉

『ふーん。』


〈(はあ、どうしよう、今日なんて腕まで絡ませてきて、こういうのって

 自分から告白すればいいのか、相手からの告白を待った方がいいのか、

 大切にしてあげよう)〉


~ルッツォ~


『(あの女の子、ルッツォのことみてる?!)』

『今日のルッツォカッコイイね!!』

《あれ、そう?今日、何か良いものの喰ったかな》

『(ど、どうしよう。腕絡ませようとしたら、胸まで当たっちゃった。

 えーい、いくしかない)』

『あはは、食事の効果だね』

《いつもより3割増しかな》

『(あ、目を合わせて話してくれるようになった!!)

あはは、そうかも』

《あはは》

『(ん?!あれルウさん?!どうしよう、どうしよう、

 あ、やばい、こっちに気付いた?!腕を離すべきか、このままでいるべきか、

 えーい、ママよ、このままでいこう)』

『(よかった、ルウさんそのまま素通りしてくれた。

 でも、今の感じ何だろ。すごい気持ち良かった。)』

《ど、どうしたナリス?》

『んーん、何でもないの、もう少し歩こルッツォ』

《あ、ああ》

『(何かルッツォに甘えることが出来た気がする、

 これがイチャイチャってやつかな)』


『(ああ、いけない、ルウさんにいけないことしたのに、こうしてると気持ちいいな、

 いつまでも、こうしていれたらいいのに。)』


   ~イシリス~


『あの、ルウさんに見られてしまいました』

☆それで、どう思った?

『はい、、、悪いとは思いつつも、気持ちいいなって思ってしまいました。』

☆それでいいのよ!!

『はえ?!』

☆は?!ごめんなさい。つき、我を忘れてしまったわ。

 そうね。でも、ルウさんにフォロー入れるのも忘れないでね。

『はい、絶対に』


一方、

   ~ハール~


〈僕は、どうしたらいいんだろう。ナリスさんの期待に応えないと!!〉

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