第46話 新たな決意Ⅱ

「まりんちゃん……気持ちは分かるけど、セバスチャンの相手は、きみじゃ務まらない」

 顔色ひとつ変えず、シロヤマは諭しにかかる。

「セバスチャンは、想像以上に手強い。死封の力を持った細谷くんでさえ、敵わなかった。そんな強者の前にのこのこ出て行ったら、逆にられてしまう」

「そんなの、百も承知よ」

 眉を上げたまりんが反論する。

「だけど、このままじっとなんてしていられない。

 もともと、セバスチャンには用があるの。だからお願い……私に、戦わせて」

「……いや、駄目ダメだ。全力で死守すると誓ったばかりで、きみを危険にさらすわけには……」

 まりんは哀願したが、シロヤマは頑なに拒む。

 その口ぶりは、まりんの気持ちをんで戦いに行かすべきか否かで葛藤しているように思えた。

「それなら、シロヤマも一緒に、戦ってよ」

 今度は奮然と口を開いたまりんが、シロヤマを諭しにかかった。

「どっちかひとりじゃなくて、二人で戦った方が、戦闘力も増すと言うか……

 とにかく、みんなで一丸になった方が戦いやすいと思う」

 シロヤマの言う強者が相手なら尚更……ね。

 まりんは最後にそう、ぎこちなく付け加えて言葉を締め括った。

「私も彼女と、同意見よ」

 いつの間にか、対峙するまりんとシロヤマの傍まで歩み寄っていた美女がやおら、美声を奏でて話を切り出した。

「自分でも敵わないと思う強者相手なら、ひとりより多くの味方仲間と戦った方が効率的だわ。

 幸い屋上ここには、あなた達の味方が沢山いるしね」

 美女はそこで一旦区切り、

「ただ、危険から遠ざけるために、自分の傍に置いておくだけが能じゃない。

 時には協力し合って、助け合って、支え合うことも、大切な彼女ひとを護る上では、欠かせないんじゃないかしら」

 最後にアドバイスをして言葉を締め括った。

「そっか……そうだったな」

 美女からのアドバイスを聞き、シロヤマは目がめたように笑いながら呟いた。

 そういえば、屋上ここに来る前も、似たようなことしたっけ。と、忘れかけていたを思い出しながら。

 かなり危険だが……賭けて見るか。

「いいぜ……死神結社の中でも強者に入るこの俺が、赤ずきんちゃんの望みを叶えてやろうじゃねーの」

 俄然やる気モードになったシロヤマはそう、自信に満ちた笑みを浮かべて断言した。

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