第19話ヤクザのやり方とぼくらのやり方

清藤様きよふじさま、ご報告ほうこくまいりました。」

たか、はいれ。」

小牧市こまきしにある清藤きよふじいえに、探偵たんてい周防すおうがやってきた。

田亀組たがめぐみ妨害ぼうがいした名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうとイーサンについての調査報告ちょさほうこくをしにたのだ。

「えー、名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうについてですが・・・、これは予想外よそうがい相手あいてです。」

「どういうことだ?」

名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごう所属しょぞくしている人は二百人にひゃくにんかるえ、さらにホテルのオーナーや警察官けいさつかんなど幅広はばひろ人脈じんみゃくがあります。」

人脈じんみゃくひろいということは、あらゆる分野ぶんや専門的せんもんてき知識ちしきやさまざまなツテをっているひとがいる可能性かのうせいがあるということ。

つまり人員じんいん使つか作戦さくせん手数てかずおおいということだ。

警察けいさつ関係者かんけいしゃでも約五十人やくごじゅうにんはいます。」

「これじゃあヤクザもおそれれおののくわけだ・・・、一体何者いったいなにものなんだ大島おおしまという人間にんげんは?」

大島愛知おおしまあいち年齢三十六歳ねんれいさんじゅうろくさい大島財閥おおしまざいばつ長男ちょうなんで、独身どくしんです。」

個人情報こじんじょうほうわれても大島おおしまについてわからないことがある。

しかしそんなことをおそれていてはだめだ、つづけていればいずれつぶされてしまう。

なに大島おおしま弱点じゃくてんについてわかっていることはないのか?」

大島おおしまどもがきだという情報じょうほうがあります。」

清藤きよふじ大島おおしまが『チーム・ブンガブンガ!』という小学生しょうがくせいだけの集団しゅうだん支援しえんしているということをおもした。

「そうか・・・どもか。そういうがあったか。」

「それからチーム・ブンガブンガのリーダー、天星あまぼしイーサンについて調査ちょうさしてきました。日本にほん英国人えいこくじんとのハーフで、特技とくぎはマジック、かれ父親ちちおやはハットスター・ジェームスという世界的せかいてきなマジシャンです。」

「そうか、それで『チーム・ブンガブンガ!』のメンバー全員ぜんいん自宅じたく場所ばしょ把握はあくしていたよな?」

「ええ、以前いぜん調査ちょうさあきらかになっています。」

「よし、田亀組たがめぐみのメンバーを使つかってかれらをいえからそとさないようにしよう。そうしたら大島家おおしまけ電話でんわして、元長篠組もとながしのぐみのの連中全員れんちゅうぜんいんわたしてもらうんだ。」

「なるほど、それはいい作戦さくせんです。」

清藤きよふじわれながらの作戦さくせんはなたかくなった。

そして金山信勝きんざんのぶかつ電話でんわをかけた。

金山きんざんはいるか?」

「へい、前日ぜんじつはしくじってしまいもうわけございません。」

「それはもういい、つぎ作戦さくせんおもいついた。」

「へい、なんでしょうか?」

ななつの住宅じゅうたくリストをこのあとファックスでおくる、その住宅じゅうたくリストにしるされた住宅じゅうたく組員くみいんかわせ、住人じゅうにん誰一人だれひとり外出がいしゅつさせないようにしろ。一軒いっけんあたり八人はちにんもいれば十分じゅうぶんだ。」

「わかりました、うちの組員くみいんをフル活用かつようすればできます。」

心強こころづよい、やはり田亀組たがめぐみんで正解せいかいだった。この計画けいかくにしくじりはゆるされない、きもめいじてけよ。」

承知しょうちいたしました、かなら成功せいこうさせてせます。」

清藤きよふじ通話つうわった。

「これで一安心ひとあんしん・・・。さて、あの準備じゅんびをしなくてはな。」

今夜こんや清藤きよふじには会合かいごう用事ようじがある。

次の市長選しちょうせん当選とうせんのための談合だんごう上手うまったことをいわうのだ。

清藤きよふじはウキウキした表情ひょうじょう準備じゅんびかった。










八月十七日はちがつじゅうしちにち、イーサンがリビングからいえまえるとくろくるま駐車ちゅうしゃしていて、七人しちにんおとこいえまえならんでいた。

「なんだろう?」

「よくわからないけど、こんなところにいられたら迷惑めいわくだわ。」

蜜柑みかん玄関げんかんおとこたちのところへかった。

十分程じゅっぷんほどすると、蜜柑みかんあおかおもどってきた。

今日きょういえそとてはダメよ。」

蜜柑みかん切迫せっぱくしたこえった。

「どうして?」

「あの人たちはヤクザ、私達わたしたちいえなかめられたのよ。」

イーサンはふと田亀組たがめぐみのことをおもい出した。

すると電話でんわった、イーサンが受話器じゅわきると大島おおしまこえがした。

「イーサン、無事ぶじか!!」

大丈夫だいじょうぶだよ、なんかヤクザがいえからさせないようにしてるみたいなんだけど、なにがあったの?」

「ああ、そいつらは田亀組たがめぐみ連中れんちゅうだ。要求ようきゅう元長篠組もとながしのぐみ組員くみいんわたすこと、おうじなければ『チーム・ブンガブンガ!』を皆殺みなごろしにするとさっき電話でんわってきた。」

なんだって!!じゃあほかのみんなも・・・。」

「ああ、おそらくめられている。」

はやたすさないと大変たいへんだ!!」

はやまるな、相手あいては・・・。」

大島おおしままえにイーサンは通話つうわった。

「イーサン、いまのは大島おおしまさんからかい?」

ジェームスがイーサンにたずねた。

「うん、メンバー全員ぜんいんいえなかめられているみたい。」

「そうか・・・、じゃあたすけけにこう!!」

ジェームスがニッとしたかおった。

「ちょっとあなた、危険きけんすぎよ!!」

大丈夫だいじょうぶさマイハニー、すぐにわらせるから。」

蜜柑みかん静止せいし無視むしするとジェームスは、イーサンと一緒いっしょ作戦さくせん開始かいしした。








「みんな、マジックショーがはじまるよ!」

準備じゅんびととのえたイーサンとジェームスは、玄関げんかんると陽気ようきあるした。

「おい、なにそとようとしてんだよ!」

いた田亀組たがめぐみ組員くみいんったが、イーサンとジェームスは組員くみいんたちのまえまであるいてきた。

「それではこれより、瞬間移動しゅんかんいどうのマジックをせます!!」

「ふざけてんのか!!」

組員くみいんたちがピストルをイーサンとジェームスにけた。イーサンとジェームスはおおきなきなマントをかぶった。

「スリー・トゥー・ワン・・・。」

ころせ!!」

組員くみいんたちがピストルを同時どうじはなった。しかしそこにあったのは、あないたおおきなマントだけだった。

「おい、どうなっているんだ!?」

わたしたちはここだ!!」

イーサンとジェームスは組員くみいんたちの背後はいご移動いどうしていた。

「こしゃくな、やっちまえ!!」

組員くみいんたちがイーサンとジェームスにおそいかかったときだった、桐島きりしま田中たなか友近ともちか赤谷あかや四人よにん組員くみいんたちに強襲きょうしゅうした。

「イーサンとジェームス、こっちだ!!」

はやて!!」

うしろの電柱でんちゅうかげから日向ひなた彩芽あやめびかけた、イーサンとジェームスはばれたほうかった。

二人ふたりとも、どうしてここに?」

大島おおしまさんにたのまれたんだ、ぼくたちでたすけにかってくれって。」

「イーサンにはやられたけど、たのもしそうだし小学生しょうがくせいとはおもえないほどたよりになるから。」

イーサンとジェームスは電柱でんちゅうかげから、戦闘せんとう見守みまもった。

そして十分後じゅっぷんご田亀組たがめぐみ組員七人くみいんしちにんはすっかりやられてしまった。

まったく・・・すぐあぶなっかしいことするから。」

友近ともちかおこった口調くちょうった。

「だってみんなが心配しんぱいなんだもん。」

大丈夫だいじょうぶほかのみんなは連合れんごうのメンバーと元長篠組もとながしのぐみ連中れんちゅうたすけにかっている。」

本当ほんとう!?ありがとう!!」

イーサンは桐島きりしまあたまげた。

にするな、清藤きよふじとしまえつけるには『チーム・ブンガブンガ!』が必要ひつようなだけだ。」

「そううことっす。さて、警察けいさつんでずらかろうぜ。」

友近ともちか警察けいさつ通報つうほうすると、イーサンとジェームスは大島家おおしまけかった。












大島家おおしまけくと、チーム・ブンガブンガのメンバー全員ぜんいんあつまっていた。

「イーサン、無事ぶじかった・・・。」

武田君たけだくん風間君かざまくん斎藤さいとうちゃん、神島君かしまくん文道君ぶんどうくんも・・・かった。」

イーサンはメンバー全員ぜんいん無事ぶじ安堵あんどした。

「それにしてもこわかったよ、今朝けさきゅうあらわれたから・・・。」

おれたちをめて人質ひとじちにするなんて、やりかたきたないぜ。」

「ここからはおれたちのターンだ、清藤きよふじをギャフンとわせてやる。」

「そうよ、こうなったのはあいつが田亀組たがめぐみ命令めいれいしたからよ!!」

「よーし・・・いくぞ!!ぼくらは・・・・。」

「ブンガブンガ!!ブンガブンガ!!」

イーサンのかけごえ全員ぜんいんこぶしきあげた。

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