第2話 アルカ 約束
アルカ
レム「約束をしよう、ボクラはこの島を海に沈めたこのセカイに対する怒りを忘れない、いつか必ずこのセカイから国家を無くす、これがその約束の証だ、約束をする人間はこの証をその身に刻め」
レムは青白い手を伸ばしてそう言った。左手の手の甲にはこの島の古いシンボルのタトゥーが刻まれていた、よくは知らないがそれは 「アングスト」「怒り」を表すシンボルらしい。
まだタトゥーを入れたばかりで血の滲んだ手が、肌の白さと対照となって妙に痛々しく見えた。
こんなマザーシーの真ん中の島に住んでるのに嘘みたいに白い肌だ、レムが最近外に出てるのを見たことがない。ずっと小屋にこもりきって電脳端末でプログラムを作っている、なにかゲームでも作ってるらしい。
昔っからこいつの考えてることはまったくわからない、ただ、わからないのに絶大な信頼を得ている、いわゆるカリスマってやつだろう。理由は無いが身にまとったオーラが、無言の圧力で他人に言うことを聞かせることが出来る。
レムの言うことはちゃんと聞かないといけない、という無言のルールが存在する。レムは他人に対して威圧的な態度を取ったことなんてこれまで一度もないし、感情的に怒ったことも一度たりともない。暴力なんて問題外だ。ありえない。そのレムが怒りの紋章を身体に刻んだということだ。
アルカ「誓う、必ず」
エクセ「誓う」
必ずだ、必ずこの島を沈めた世界に復讐する。レムも同じ気持ちでいてくれてよかった。そのとき小屋の入り口のカーテンがさっと開かれた
レーゼ「ふ~ん、女は仲間はずれってわけ?革命組織なのにえらく保守的ですね」
レーゼの金髪が逆行の夕日に照らされてキラキラ光った。
アルカ「女はダメだ、嘘つきだし、情報をすぐ漏らすし、必ず裏切る、女は禍をもたらす」
エクセ「女だから、じゃない、秘密はなるべく少人数に限定して情報漏えいを防ぐためだ」
レーゼ「はやくも言ってることがバラバラじゃない、イデオロギーの統一ができてないんじゃないの?」
レムがさっと印の刻まれた手を上げてレーゼを黙らせた
レム「確認しておくよ、この印を刻んだらボクの命令は絶対だ、そうだね?アルカ、エクセ?」
アルカ「そうであります」
エクセ「あぁ」
レム「この組織は、議論、するための組織ではない、ボクの命令を実行するための組織だ、議論することは禁止する、議論は必ず分裂を生む。人は議論に負けたからといって自分の意見を変えることなんて出来ないからだ。議論に負けても恨みを抱くだけで何の解決にもならない。
ボクの命令は絶対だ、ボクが死ねと言ったら死ね、レーゼ、それでも覚悟は出来ているかい?」
エクセが手を後ろに回した、こいつまぢか?レーゼがNOと言ったらナタでレーゼをぶったぎるつもりか?これだからクソ真面目は!行動が極端すぎる!
レーゼ「・・・ちっ誓って!命令には従う、だからワタシも組織に入れてください」
レーゼは胸に手を当て膝を付き、最敬礼のポーズを取った、エクセもそれを見て手をナタから離した・・ふぅ。ヒヤヒヤさせやがる。
レム「別にそんな古臭い礼儀なんていらないよ。でも良かった、これでコミュニティアとも連携を取りやすくなるね。
もう一度確認しておくよ。民主主義は理想かもしれないけれど、意思決定のシステムとして劣悪だ、話し合いで何か解決出来るなら、すでにあらゆる問題が解決されているだろう、この島が海に沈むこともなかった。
組織内では議論は禁止する、僕らは一心同体だ、脳みそは2ついらない、何も考えずボクを信じて、ボクの指示に従うこと、いいね?」
3人「了解」
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