第6話

思ったより強い向かい風だった。


担任の先生、バスケの先生、教頭先生までが驚きながら何故の質問責め。後から吹奏楽の先生も来て「運動きついから嫌になったって理由じゃないよね?」と聞かれた。


「違います!気持ちが音楽にしか向かなくなったからです」何が何でも吹奏楽をしたい気持ちを伝えた。


バスケの先生が「美憂は音楽した事あるの?」


「ありません!何も出来ません!」

私は潔く言い切った。


「えっ?」職員室の空気が止まった…。


私は苦し紛れから

「ピカソだって、ベートーベンだって、シューマッハだって、Lemon を歌ってる人だって芸術家の最初はみんな初心者です!」と涙目になりながら言い放った。


吹奏楽の先生がその勢いに慌てて

「大丈夫、初心者だって私は何人も立派に育ててます…ただ、シューマッハは芸術家じゃないけど…」と笑いを堪えながら他の先生に言ってくれた。


「あぁ~っ!もう!じゃぁいいよ!県の協会に報告するから!」とバスケの先生が頭をかきむしりながら半分叫ぶ様に言った。その後で優しい目で私の頭を撫でて「ここまで言ったなら絶対日本一になれよ!」と言ってくれた。


涙が出た…。

これが邪魔してくれてありがとうなんだね?お父さん。頑張らないとと覚悟をつける事が出来た。


これで音楽だけを地に足を付けて見据える事が出来た。お父さん、大事な事、教えてくれてありがとうと何処かの国にいるお父さんに話しかけていた。


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