第2話 神は必要か?


 さて、物語を始める前に一つ尋ねたい。


 原初の時代、人は神を畏れ敬った。

 時には神に縋り、時には神に感謝した。


 


 人は神へ供物を捧げ、神の恩恵に感謝し、神をおそうやまって生きてきた。

 その一方で人は神の持つ『知恵』をわが物にするために研究し始めたのだ。

 その結果、様々な学問が生まれた。


 占星術、陰陽術、修験道、仙術、錬金術、哲学…………そして科学


 最初は占いから始まった天地の理の解析はやがて数学、物理学、化学へと変わっていき…………

 より細かく実用的に工学、医学、経済学、哲学、管理工学などへ変わっていき…………『神の知恵』は様々な形へと分かれていった。

 面白いもので、人は『神の知恵』を解析していったはずなのに、それは次第に神を否定することになり……


神は死んだ


 西洋のお偉い哲学者がそんなことを言ったらしい。

 それを聞いた人たちは「これから科学の時代だ」と神への信仰を捨て始めた。

 そうやって出来たのが今の時代である。

 科学至上主義の現代において神は過去の遺物と化し、風化される存在になりつつあるのだが、私はこう思う。


 


 その『科学至上主義』とは本当に『神の知恵』を全て解析した結果なのだろうか?

 そして、もっと大事なことがある。


 未来には神は『居ない』のだろうか?


 本当に神は『必要のない』存在なのだろうか?

 そして……


 『必要のない物』は『失って良い物』なんだろうか?

 『神』も『祭り』も要らない無駄な物なのだろうか?


 


 その答えは……『彼ら』が知っている。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る