衣擦れ少女

日生 千裕

「こんな日常でいいですか?」

僕は、「佐藤美香さとうみか」24歳。東京でバリバリのキャリアウーマンをしている。でも僕には、いや、僕たちには、ある秘密がある。


「おはようございます…み、美香さん?」


そう、僕には「彼女」がいる。


「美香さん?生きてますか?」


「生きてるよ?」


その言葉を聞き、満面の笑みでこちらを見てきた。こんなに心配してくれるなんて――


「可愛い…」


「な、なんでそんなにニヤニヤしてるんですか?」


「な、なんでもないよ」


僕の返しに少し不満げに、すたすたとリビングに向かうそのきれいな肌色の物体は、私の心を一瞬にして奪いっとった。


その姿に惹かれかのように私もリビングに進む、部屋を出たとたん朝ごはんであろう物のにおいで食欲をそそられる。


「朝から性欲と食欲…」


そんなのことをつぶやきながら、僕が行きついたのは彼女の真後ろだった。


「どうしたんですか?」


「いや、何でもないけど…少し寒くて…」


そんなことを言いながら、僕は彼女に抱き着いた――

とてもすべすべできれい、スタイルもいい、完璧だ…


「美香さん…触り方えっちぃです…」


「朝から全裸なのが悪い…」


その言葉を最後に快楽へと落ちてゆく二人…お互いがお互いを触りあい、時を忘れ、喘ぎ声が漏れる。


一通り終わった後は、彼女が作った朝ご飯を食べる――


「こんな日常が、いつまでも続けばいいのに…」


「なに言いてるんですか?美香さん。私は一緒にいます!いつまでも!どこまでも…」


少し、暗い表情になりながらそう言った…


「このばか…」


そんなこと言われたら…きついって…


頬が赤くなるのを感じながら、あの日の記憶を思い出していた…

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