主人が待っておりますので

「主人が待っておりますので……」

 そう言いかけて私は口をつぐんだ。ここにいる全員が私の亭主が浮気の果てに離婚して出て行ったことを知っている。

「か、帰ります!」

 友人たちが引き留めるのを振り切るようにして私は家に帰る。

 玄関にはおとといから巨大な通販の段ボールが置きっぱなしになっている。片付けないとと思いつつ、どうも後回しにしてしまう。

「あなたぁ、今帰りましたよぉ」

 ぐんにゃり、と、通販で買ったアレがこちらに反応した。


《制限時間15分、お題:人妻の感覚 》

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る