第3話 天空の騎士団と遭遇

 公園と言っても中は草木が生い茂っていて鬱蒼うっそうとしている。夕方だからか、遊んでいる子供はひとりもいない。

 公園の中程まで歩き進んだところでまた、物音がした。僕は、音がした方に向かうと近くの樹木に身を隠した。

 あの二人は確か……

 太い樹木の間から顔を出し、様子を窺っていた僕はあっと息を呑む。僕が身を隠す木の、すぐ近くで敵と対峙している二人の青年の後ろ姿。

 ひとりは紺色の短い髪に濃紺のマントを羽織り、もうひとりは藍色のおかっぱ頭で白色のマントを羽織っている。

 以前、魔界でロビン様から聞いたことがある。神使いは二人の護衛騎士、すなわち天空の騎士団に守られていると。

 その団員の特徴が今、僕が目の当たりにしている二人の青年と一致している。これはまずい。

 僕の心が、にわかに動揺した。自分で言うのもなんだが、僕は魔界きっての最弱悪魔である。

 魔界にいた頃は下級悪魔に勝てず、いじめられる始末だ。こんなに弱い僕が、天空の騎士団に勝てるわけがない。

「神聖なる力……虹のきらめき!」

「闇を切り開く力……希望の灯火ともしび!」

 白マントの青年と、濃紺のマントの青年が交互に叫ぶ。

 二人の騎士は携えた剣を振り、面前にいる敵めがけ大技を撃ち放った。

 白マントの青年の剣から放たれた七色の光線に濃紺のマントの青年が放った金色の炎が合体。炎が渦巻く巨大な光の球となって、猛スピードで飛んで行く。

 チュドーンと巨大な光の球が標的に命中する、物凄い衝撃音の後に爆風が発生し、粉塵が舞った。あまりの迫力に、血の気が引いた僕は、危うく腰を抜かしそうになった。


 無理っ!!


 天空の騎士団の、騎士達の強さを目の当たりにした僕は心の底から絶叫した。内なる僕が今、全力で逃げろと危険信号を発している。

 今、僕の目の前で悪魔どうほうがやられた。次は僕がやられる!


 無理無理無理無理無理ィィィ!!


 身の危険を感じ、恐怖におののく僕の身体が光の速さでその場から離れて行く。なんて強さだ!僕なんかが到底、太刀打ち出来る相手じゃない!!

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