第43話

「朝葉様、海の近くの岩場に大きな山羊が出て暴れているそうです!」

「山羊肉か、良いね! 倒しに行こう!」

 朝葉とトワロはバンガローを後にして、岩場に向かった。


「今日はセリスさん来ないんだね」

「彼女も忙しいですから」

 トワロと話しながら歩く。しばらくすると岩場に着いた。


「あ、あそこです」

「おっきいね、普通の山羊の倍くらいある」

 朝葉とトワロは剣を構えた。

 山羊の蹄が朝葉の顔を狙う。


「おっと、危ない!」

 朝葉は避けたタイミングで、逆に山羊を狙った。

「解体のスキル!!」

 朝葉は山羊の首を落とすと、角と皮と肉、内臓に綺麗に解体した。


「うん! お肉たっぷりだね」

「山羊の皮と角は、冒険者の館で引き取ってもらいましょう」

 朝葉達は冒険者の館に寄ってから、バンガローに戻っていった。


「さてと。今日は山羊挽肉のトマトソースと、ジャガイモのニョッキを作るよ!」

「ジャガイモのニョッキとは何ですか?」

 トワロが朝葉に尋ねる。


「ジャガイモに火を通して、皮と芽を取り除いて潰してから小麦粉と練って、ゆでた物だよ」

「そうなんですか。美味しいんですか?」

「うん!」


 朝葉は一応五人分の山羊挽肉のトマトソース煮込みを作り、ジャガイモのニョッキを作った。

「三人分は、冷蔵庫にしまっておくね」

「それじゃ、トワロ、テーブルについて待っててね」

「はい、朝葉様」


 朝葉はできたてのニョッキに、山羊肉のトマトソースをたっぷり掛けた。

「できたよ!」

 朝葉は料理をテーブルに運んでくると、トワロと朝葉の席に置いた。

「それでは、いただきます!」

「いただきます」


「トマトの酸味と山羊肉があいますね。ちょっと香辛料が効いていて美味しいです」

「うん。山羊肉はクセが強いから、香辛料とよく混ぜて使ったんだよ」

 トワロも朝葉もあっというまに完食してしまった。


「おかわりする?」

「いいえ、私は結構です」

 トワロが言うと、朝葉は自分の皿だけもって台所に戻った。

「えへへ。おかわりしちゃった」

 朝葉はにっこり笑うと2杯目のニョッキを食べ始めた。


「朝葉様は、実に美味しそうに食べますね」

「だって、美味しいもん」

 とわろは美味しそうに食べる朝葉を見守っていた。


「ごちそうさまでした。お腹いっぱい!」

「ごちそうさまでした。朝葉様」

 朝葉は食事の後片付けを始めた。

 

 トワロは手伝うことはないか聞いたが、特になかったのでバンガローを後にして街に帰っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る