泥酔文学

石嶺 経

始めに

 何が始めにだ。そんな気取った挨拶なんかいるものか。

 酒を飲んで、書き始め。

 グラスを空ける前に、書き終わる。

 それだけの文章だ。

 それだけの物語だ。

 別に物語ではない。


 酒飲みの文章は総じて面白い物である。

 坂口安吾、中島らもあたりがそれだ。もちろん非凡な二人ではあるが、酒に酔って普通ではたどり着けない、羨ましいような、疎ましいような、そういう世界がある。私もたどり着きたくて、こんなものを始めた。


 今飲んでいるのはサントリーウィスキーの碧、それを炭酸で割っている。碧が七割、炭酸が三割だ。琥珀色といって差し支えない、濃い色をしている。いや、気取っているな。バカみたいだ。今日はこのぐらいにする。

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