第8話 国王様に会う

 くっきーを抱っこして寝たので、腕にあるもふもふが気持ちいい。思わず2度寝しちゃいそうなほど気持ち良い!


 でも、今日は予定があるから起きなきゃ!


「くっきー、おはよう!」


『サラ、おはようくまよ』


 くっきーにクリーンを掛けて貰い、お出かけ準備をしてから食堂へ向かう。食堂で2人で美味しくご飯を食べたら宿を出て、まずは冒険者ギルドへ向かおう。


 宿を出てくっきーを抱っこしてぽてぽてと冒険者ギルドへ向かう。冒険者ギルドのドアを開けると、すごい人だった。


「うわぁ、凄い人だね」


『そうくまね』


 まずは冒険者ギルドの中のカウンターにいるお姉さんに声を掛けてみよう。ちょっと背伸びをしてかろうじて顔がちょこんと出るくらいだけど、頑張る。


「こんにちは、今大丈夫ですか?」


「あら、可愛いお客様ね。こんにちは、どうしたのかしら?」


「あの、クロサイトの冒険者ギルドのギルマスから王都のギルマスさんへお手紙を預かっているのですが……」


「あら、そうなのね。今ギルマスに聞いてくるから待っていてくれるかしら?」


「はい、お願いします」


 少し待っていると、戻って来たお姉さんにギルマスの部屋に案内された。ギルマスの部屋に入ると、奥の机にギルマスが座ってお仕事をしている。


「初めまして、サラです。こっちは従魔のくっきーです」


「俺はギルマスのアルフだ。よろしくな」


 ガタイの良いギルマスと挨拶をしてから、本題に入る。


「クロサイトのギルマスさんからこちらを預かってきました」


「もしかして、神獣様と聖女様か?」


「えっと、こっちは神獣様です。私は聖女じゃないですよ」


『ぼくの事くまね。サラは僕の加護があるくまよ』


 そう言うと、ギルマスは書状を読み始めた。


「すでに国王様との話し合いの段取りは決めてある。神獣様が来たら即国王様の所へ来るようにって言われているんだが、これから国王様の所へ行っても良いだろうか?」


『いいくまよ。後、ぼくにもサラにも普通に話していいくまよ。話しにくいくまよ』


「分かりました。それとここでは薬草は足りてますか?」


「いや……こちらでも薬草は底をついてきていてポーションが作れなくなってるんだ」


「くっきーが持っているので使ってくださいね」


『ハルがクロサイトから王都までに採取しながら歩いたからいっぱいあるくまよ』


「それはとても助かる! ありがとうございます!」


 薬草の事を話し終わったので、話を先に進める事にする。しかし、国王様の所へ突然行ってお話できるものなのかな? でもくっきーは神獣様だし、だからかな? 馬車に乗り王城まで連れていかれる。


(馬車って初めて乗るけど、この馬車以外と揺れないね)


『サラ、大丈夫くま?』


「う、うん……緊張するね」


『ふふ、大丈夫くまよ』


「あの、国王様にお会いするのにマナーとか教えて頂けますか?」


「ははっ、神獣様と聖女様の方が位は上になるから気にしなくて大丈夫だぞ」


「えぇぇ!? わ、私は普通の人ですよ?」


「神獣様と仲良く出来るだけで十分だ」


「そ、そうなのですね~……」


 それはそれでどうしていいのか悩む所ですよ? ギルマスと馬車に乗って王城に着くと、すぐにどこかの普通の部屋に通された。


 少し待っていると、ノックの音が聞こえ豪華な服を着た人が入って来た。


(あの人が国王様なのかな?)


「神獣様にご挨拶を申し上げます」


『サラが緊張しちゃうから普通にするくまよ』


「ありがとうございます」


 ここはくっきーに任せて私は話を聞いていたら良いかな。


『アレクシス王国で今魔物が増えているくまよね。それで洞窟でこの魔石を見つけたくまよ』


「もしかして、これが……?」


『これは魔物を召喚するための魔石くまね。洞窟内に埋め込まれていたから、そこからどんどん魔物が呼ばれて溢れているくまよ』


「ギルマスから話を聞いていたが、これがそうなのか」


『あっ、触らない方がいいくまよ。クロサイトから王都に来るまでにも洞窟があってそこも沢山魔物がいたくまよ』


「あ、ありがとうございます!」


 国王様とくっきーの間で話を進めてくれるからとても助かるね。


「あの、もし良ければうちの騎士達を護衛につけるので、浄化をして貰う事は可能でしょうか?」


『サラはどうくま?』


「もちろんくっきーと一緒に行くし、浄化するのはもちろん賛成だよ。でも護衛っている?」


『ふふっ、そう言うと思ったくまよ。ぼくがいるから、護衛は居なくても良いとは思うくまよ』


「いえ、さすがにお2人だけに任せるわけにはいきませんっ!」


「そ、そうなのですか?」


『でもサラ、これを埋め込んだのが誰か分からない以上、一緒に行く方が良いと思うくまよ?』


「そっかぁ。でも、薬草はどうしようか?」


『まぁ、浄化が出来れば採取が出来るようになるから、今までより少なくても良いと思うくまよ?』


「それもそうだね。すぐに必要な分だけ採取して進んだら良いかもしれないね」


『そうくまね』


 騎士さんが護衛に就く事になった。なんだか落ち着かなそうだけど、仕方ないよね。魔物はくっきーが浄化してくれるけど、悪い人がいたら怖いもんね。


「そうだ、まずはどこに向かえば良いですか?」


『洞窟とか心当たりがある所はあるくま?』


「王都周辺だと、東の洞窟、西のダンジョン、北の洞窟でしょうか?」


(結構あるね……頑張ろう!)


『確かにダンジョンも怪しいくまね。じゃあ、とりあえず全部回って浄化してくるくまね』


「うん、そうだね。途中のは洞窟だったからダンジョンじゃなかったものね」


『そうくまね』


「ありがとうございます。では明日から護衛を出しますので、それまでお待ちください。護衛にルートを伝えておきます」


「はい、分かりました」


 王城に泊まって欲しいと言われたけど、さすがにそれは無理です、宿で十分です!! 無理を言ってしまったけれど、ギルマスと馬車に乗って冒険者ギルドへ帰って来た。


 ギルドで、薬草とかお肉とかドロップ品を沢山買い取って貰った。それからローズ亭に向かって今日の泊まる手続きをして貰った。


 まずは食堂でお夕飯をくっきーと2人で食べてからお部屋に戻る。部屋に入るとくっきーがクリーン魔法で綺麗にしてくれた。お部屋着に着替えてのんびりする。


「そういえば、もう少し食料買っておかなくて大丈夫だった?」


『パンとかはないけれど、小麦粉とかならあるくまよ』


「1か所終わったら食料を色々買い込みたいね」


『そうくまね。護衛が付くならもう少し食料が欲しいくまね』


「うんうん、後調理器具だね」


『ふふ、ご飯は大事くまね~。それに買い取りして貰ってお金もいっぱいあるから、沢山買って大丈夫くまよ』


「ふふっ、ありがとうね。美味しい物食べたいね。しかし、薬草とか無料で渡しても良かったんだけどね」


『それだと他の冒険者達が困っちゃうからダメなのくまよ~』


「そうなんだよね~。そこが辛い所だよね」


『ふふっ、サラはやっぱり優しいのくま!』


「そんな事ないよ?」


『サラ、大好きくまよー!』


「きゃー! くっきーだいすきっ!」


 くっきーがむぎゅっと抱き着きに来てくれたので、私もむぎゅーっと抱きしめる。もふもふ幸せ。ぬいぐるみ好きの一番の幸せだよ? だって動いてむぎゅってしてくれるんだよ! 幸せ過ぎる~。


 くっきーを抱っこしながらそんなお話をしている。明日、どんな護衛の人が来るのか緊張するね。優しい人だといいなぁ。


 くっきーを抱っこしておやすみなさい!

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