第6話 東の洞窟へ

 朝起きて準備をしたら食堂へ行って、くっきーと一緒に朝ごはんを食べる。朝ごはんを食べた後は、宿を延長してもらう手続きをして貰ってから、宿を出て東門へ向かう。


 東門で手続きをして貰い、街の外に出て歩いて行く。今日もくっきーが鑑定を掛けてくれたので、薬草とか色々と採取しながら進んで行く。今日は最初にうさぎさんがアイテムを持ってきてくれた。


(か、かわいいっ! もふもふなでなでしたーいっ!)


「うぅ……撫でたい……近寄ったら逃げるかなぁ」


『くふふ、サラはもふもふ好きくまね。きっと逃げないから撫でるといいくまよ』


「えっ? 本当?!」


 そぉーっとそぉーっとうさぎさんに近づいて行くと、逃げないで待っていてくれている。そぉっと手を伸ばしてなでなですると、気持ちよさそうな顔をしている。


(きゃーーっ! うさぎさんかわいいっ!!)


「ふふっ、撫でさせてくれてありがとうね。ドロップ品も持ってきてくれてありがとうね」


 そういうと、うさぎさんは森の中に帰って行った。


「可愛かったぁ! しかもふわふわだったよ~」


『よかったくまね~』


(ふふふ、ステキなもふもふさんだったなぁ)


「ふふっ、もふもふパワーでがんばるぞー!」


『サラ、ぼくももふもふくまよ?』


 きゅるん! と可愛いポーズをされたので、瞬間で抱き着きました!


「ふふっ、もちろん! くっきーのもふもふは極上なのよ!」


 もう、くっきー可愛いっ! もふもふすりすりしてむぎゅっとする。はぁ、幸せ!


 よし、もふもふパワーで元気になったので、今度こそ先に進もう。それからも次から次へと動物さん達がドロップ品を持ってきてくれる。やっぱり魔石が沢山あるから、ここら辺にも魔物が沢山いたんだろうなぁ。


「くっきー、そろそろお昼ごはん食べようか?」


『そうくまね~』


 くっきーにパンと果物を出して貰って半分こして食べる。食べている間も動物さん達がドロップ品を持ってきてくれる。果物とかも持ってきてくれるので、とてもありがたい。


 持ってきてくれる動物さんにお礼を言うと帰っていくので、動物さんにも言葉が通じるんだろうか? 色々な動物がいて、食べている間とても和む。かわいいっ! なでなでしたいっ! ご飯中じゃなければなでなでするのにっ!!


「よし、食べたから先に進もうか」


『サラ、疲れてないくま?』


「うん、大丈夫だよ」


『そろそろ洞窟だと思うくま』


「よし、がんばろー!」


 少し進むと、くっきーの言うように洞窟が見えてくる。洞窟の前にも大量のドロップ品が落ちている。大量のドロップ品はくっきーが手を伸ばすとアイテムボックスに収納される。


「よし、洞窟に入ってみよう」


『行くくまよ!』


 くっきーを抱っこしたまま洞窟に入っていく。洞窟に入ると、くっきーが明るくしてくれたので、そのまま進んで行く。やっぱりここの中も大量のドロップ品が散らばっている。


 くっきーが次々ともふもふの手を伸ばして、アイテムボックスに仕舞いながら進んで行く。


(この手を伸ばす仕草だけでも可愛くてすりすりしたいっ!)


 洞窟の中はどうも緊張感が高くなるから、くっきーを抱っこする手につい力が入ってしまう。魔物がいないのは分かっているけれど、怖いのはやっぱり人だよね。悪い事する人がいるのかもしれないと思うと緊張しちゃうよね。


 アイテムを仕舞いながら歩いていると、洞窟の奥に着いた。ここでも宝石が埋まっていないかを探してみよう。くっきーを降ろして探し始める。


『ここにも埋まってないか探すくまよ』


「そうだね。どうだろうなぁ」


 西の洞窟では床に埋まっていたから、床をまずは調べてみよう。よく見ながら探していくけれど、なかなか見つからない。


 床では見つからなかったから、今度は壁を調べてみよう。


「うーん、ないのかな?」


『多分、あると思うからよく見て欲しいくま』


「うん、分かったよ」


 壁を良く調べていると、少しだけきらりと光るものが見えた。


「くっきー! これじゃないかな?」


『あったくま??』


 くっきーが見えるように、抱っこして見せてあげると魔法で宝石を掘り出してみると、やっぱりこの前と同じ宝石に見える。


『これくまね!』


「やっぱりあったんだね」


『これで少し落ち着くといいくまね』


「そうだね。誰が何の目的で埋めたんだろうね」


『なんでくまかねぇ。でも良くない事は確かくまね』


「そうだね」


『サラ、またぼくに乗って帰るくま?』


「でも重くない?」


『サラくらい全然平気くまよ~。ついでに乗ったら少し遠回りして魔物を減らして帰るくまよ』


「あっ、それはいいね! じゃぁ、お願いします」


 くっきーを地面に降ろすと大きくなって、私を乗せてくれる。


(ふふ、もふもふ気持ちいい!)


 くっきーの背中に乗って走り始めるとぐんぐんスピードがあがった。来た時と違うルートを通って街へ向かっていく。びゅんびゅんと景色が変わるのがちょっと楽しい。でも風が来ないのはくっきーが魔法を使ってくれているのかな?


 くっきーに任せて、私はくっきーの背中をなでなでもふもふすりすりする。


(ふふ、幸せすぎる~)


 ついつい、くっきーの背中に頬ずりしていたら……。


(あっ、やばっ……ね……ねむ……い……)


『ふふ、サラ寝ちゃったくまね~。でも魔法で落ちないからこのまま近くを浄化してくるくまね~』


 すっかりくっきーの背中で寝てしまい、起こされた時には日が傾きかけていた。そして門の近くに着いていた。


「ふにゃ~……くっきー、おはよ……ふぁ~……ん? ここどこ?」


『サラ、街に着いたくまよ』


「街? 街……あっ! ごめん、すっかり寝ちゃったっ!」


『ふふ、大丈夫くまよ~。風魔法を使っているから落ちないし、寝ていて大丈夫くまよ』


「ごめんね、ありがとう!」


 いつもの大きさに戻ったくっきーを抱っこして、門番さんの所へ向かう。手続きをして貰い街の中に入ると、冒険者ギルドへ向かう。



 冒険者ギルドに入ると、リーナさんに挨拶をするとギルマスの部屋に通された。


「くっきー様、サラ、洞窟はどうでしたか?」


『普通に話していいくまよ? それじゃ話しにくいくまよ』


「あ、ありがとうございます」


『サラに最初に話していたみたいでいいくまよ。それで、洞窟にやっぱり召喚する魔石が埋まっていたくまよ』


「はは、神獣様に普通に話すって怒られそうだが、話しにくいから助かる」


『ついでに帰りに遠回りして街の周辺を浄化してきたくまよ~』


「そっか、だから日が傾いていたのね」


『そうくまよ~』


「くっきー、お疲れ様でした」


「サラはどうしたんだ?」


「それが……くっきーの背中が気持ち良すぎてつい寝ちゃいました。えへっ」


「ははっ、なるほどな。って大きくもなれるのか!?」


『なれるくまよ。さすがにこの姿じゃ走れないくま~』


「なるほどな」


「そういえば、また薬草とお肉と果物が沢山ありますけど、どうしましょう?」


「ありがとう、とても助かるよ。それで一度アレクシス国王様にお会いして欲しいのだが……どうだろうか?」


「くっきーはどう思う?」


『良いくまよ。王都に行けば良いくま?』


「あぁ、王都の冒険者ギルドのギルマスに、国王様に話を通して貰う事になっている。こちらの書状を持って行って貰えれば大丈夫だ」


『わかったくま~』


「分かりました」


「それで、ギルドから馬車を出そうと思うのだが、いつ向かってくれるか?」


「ん~、でも馬車だと採取出来ませんよね?」


『採取しながら歩いて行った方が良いと思うくま』


「でも歩きで良いのか?」


「はい、だって王都にも薬草がないかもしれませんし、魔物も多いかもしれないので歩いて行った方が良いと思います」


「ありがとう」


 ギルマスからの書状を預かってから、倉庫でくっきーに薬草とお肉と果物を大量にアイテムボックスから出して貰って、宿に帰ろう。


 宿に帰って、すぐにお夕飯を食堂で食べてから部屋に戻る。


「明日は王都に向かって出発しようか」


『そうくまね』


 くっきーをむぎゅっと抱っこしておやすみなさい。

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