第12話 事後報告

 全校集会閉会直後、松平先輩は、担任に呼び止められ、体育館の控室へ連れ込まれた。

 当然の様に、僕も同席する。

「すまない、松平。」

 まずは、身体を直角に折って、謝罪をする担任。

 僕も形式上、頭を下げる。

「……先生、顔を上げて下さい。……」

「しかし、松平をイジメてた連中が、逮捕されたんだ。このままじゃ、連中から謝罪される機会がなくなる。本当に、すまない。」

「……先生、ボクは、謝罪なんて要りません。ただ、イジメが、なくなれば、それでよかった。それに、今あいつらの顔を見なくて済む。正直、ほっとしました……。」

 担任は、「はっ」と顔を上げた。僕もつられる形でだ。

「……本当に、それでいいのか。」

「……はい。先生。……」

 ここで、口を挟むことにしよう。

「先生、例の購買の件、学校経由で親御さんに、弁償させるべきでしょう。」

「そうか! それだ。冴えてるな、多賀。それで、いいか、松平。」

「…………はい。先生。………………」

「時に、先生。加害者連中は、何故逮捕されたのです。」

「俺も、詳しくは、知らされていない。だが、昨日連中が、繁華街のカラオケ店で、ニセ札を使って、お縄になったとしか……」

「これで、後10年は、戦える。」

 宗竜の「それが事実なら、連中は後10年は、出てこれませんね。」は、「これで、後10年は、戦える。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某公国とも無関係に相違ない。

「そうか、自業自得とは言え、連中は罰を受ける。松平、それでいいな。」

「……はい。先生。………………………………」

「時に、松平先輩、お願いがあります。今後、警察から何か聞かれる、されるかもしれません。その時は、警察の指示に従って下さい。但し!」

「……但し?」

「何を聞かれても、黙秘して下さい。絶対、口を開かないで下さい。弁護士以外の人間とは、会話しないで下さい。そして、警察が来た事を、僕に知らせて下さい。」

「……弁護士が、来るのかい? ……」

「はい、必ず。」

 松平先輩が、頷いた所で、お開き。メアドを交換し、それぞれの教室に戻った。


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