プロットと別の展開、これってどうする?

 皆様はよく、あらかじめ作ったプロットと食い違う、全く違う展開の小説を書いてしまうこと、ありませんか? 書いていたら、本来想定していないキャラが出たり、予め決めていた方向性を逸脱してキャラが動き出したり。

 そういうことは、ままあります。

 本当に、稀によくあるんです。

 今回は、そういう時の話をしますね。



 プロットの段階では、何度も推敲を重ねたあらすじ、そして練りに練ったキャラや設定で物語は構成されています。

 プロットとは、第三者に端的に明快に、手短に物語を伝えるための資料です。

 ですが、実際に小説の本編を書いてみると、プロットの作成段階では見えないものが見えてきます。

 個人的な私感ですが、それはとてもいいことで、当たり前のことです。

 よく、捜索界隈で『キャラが勝手に動き出す』なんて言葉、聞いたことがありませんか? 物語を書いてて、想定と違う方向や選択、全く新しいキャラや展開が生まれる……それは、なにもおかしくないし、悪いことではないのです。プロット作業の段階でキャラや設定を積み上げてきた、綿密にあらすじを構築してきたからこそ、キャラが勝手に動いてくれるんです。


 キャラが勝手に動き出す、つまり……『書いてみたら、このキャラはこうするのが自然だ』と思えるように書けてるということですね。プロット段階では、キャラクターは単体で、あくまでそのキャラそのものを掘り下げていきます。

 しかし、小説を書き出すと、そのキャラは発言、行動、そして選択と決断をしていくことになります。なにより、他のキャラと会話し、人間関係を構築するようになるのです。

 そこで改めて『このキャラならこうする、こういうキャラだったんだ!』という再発見があるんですね。この場合、実際に動き出したキャラを、そのまま書いていく方がスムーズかつ、いい作品になりやすいです。プロットとは『絶対遵守の設計図』ではないのです。



 さて、プロットと違う展開になったり、キャラが違う言動をし始めた時……プロの仕事として小説を書いている人は、どうすればいいのでしょうか。

 当然ですが、真っ先に『担当の編集者さんに一報を入れる』のが必須です。

 いいですか、出版とはチームワークです。

 小説家は、出版という事業で『作家として物語を書く』というポジションでしかありません。そして、どんなプロフェッショナルでも大事なのは『仕事のほうれんそう』です。


 仕事の報告。


 仕事の連絡。


 仕事の相談。


 この三つが、有名な報連相ほうれんそうですね。

 プロとして仕事で書く時は、想定外の展開を書く前に、必ず担当さんに放しましょう。その上で、必要ならプロットを直しましょう。

 大事なのは『チームメイトの編集者さんとの認識共有』です。

 言わなくてもわかる、ツーカーの仲というのは、実は現実では存在しません。言わなくてもわかるよね、は双方ともにあってはならない状態です。人間は言葉にしなければ伝わらないものばかり、そして完全な相互理解が不可能な生き物です。

 だからこそ、仕事の相棒である担当さんには、絶対に話すことが必要です。

 プロットと違う展開を書いて、それが完成してから見せられると、担当さんは困惑します。それに、想定外の展開が必ずしも、物語の面白さにプラスであるという保障はありません。それを担当の編集者さんなら、一緒に検証してくれるんです。

 だから、仕事として小説を書く時は、かならず話し合いましょう。

 ながやんは昔、これで大失敗をしてるので……絶対に相談しましょう。担当の編集者さんは『仕事の相棒にして、一番目の読者さん』ですからね。

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