05. エピローグ

 後日聞いた話によると、グランパ・ジョージが完全復活するまでに、丸二日を要したという。一家全員の疲弊ぶりは、それは筆舌に尽くし難いものだった、とだけ記しておく。


 そして、一等賞こそ逃したものの、市民会館でのハプニングは翌日の新聞に載り、写真にはグランパ・ジョージのジャラジャラした袖と後頭部が、ばっちりと写っていた。

 本日も、朝から意気揚々と、多少誇張した武勇伝を家族に聞かせているらしい。


 当の家族の苦労などつゆ知らず、毎年凝りもせず、グランパ・ジョージは老骨をカツカツ打ち鳴らして、この時期は踊り狂うのだ。


「来年こそは、一等賞じゃ——!」


 スケルトン家にとって、ハロウィンは一年のうちで、最も過酷な行事なのである。そしてまた、来年のこの時期も、再来年のこの時期も、やっぱり同じことをしているのだ。





おしまい

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