第7話旅立ち2


馬車を進ませながら自己紹介をしていた。

 Bクラスの冒険者で銀製の鎧を纏った槍使いのテリトとこちらもBクラスの皮鎧を身に付け切れ味鋭い短剣を二振り手に持っている短剣二刀流の盗賊アスマ他Cクラス三名だ。


冒険者のランクはFランクからSランク迄で、SSランクは名誉ランクと言い各国で多大な貢献をしたSランクの冒険者で尚且つその国に仕えて居る者にその国と冒険者ギルドにより贈られた栄誉だ。


 仕えると言ってもその国で魔物の大発生が発生した際等の大事の時に優先的にその冒険者が請け負うと言った物でその国に完全に肩入れしているものではないなので何もない時は普通の冒険者なのだ。


 冒険者とは基本的に何事にも縛られず自由でありだからこそ自分の命は自分で護らなければならないという存在だ。ハイリスクではあるがなる者が後をたたない誰でも基本的になれるし貧富の差も激しいので貧しい者は自分の命をベットするのだ。


 テリトとアスマはクランという団体のマスターとサブマスターでありこのクランという物は冒険者同士で結成されたチームだ。


テリトとアスマが設立したクラン名はフリーダム、何事にも縛られたく無いという思いが籠められておりクランのルールも最低限のものだけという基本的にクラン内も自由な物だ。


 クランのランクはBランクで中堅の位置でありクランに所属している人数は30名程でアルテランサに拠点を置いているクランでありベラルテが贔屓にしているクランだとの事。


 道中何事も無く進みゴブリンやウルフ等の下級のモンスターしか現れない、馬を操っているベラルテの隣に一名念の為に座っている者以外は前方に二人後方に二人の配置だ。


 木に囲まれ踏み鳴らされた道を通り順調に進んで行った。テリトは自分の間合いでアスマは乱戦になってもその手数で応戦し、何事も無く魔物相手に圧倒していた。


 ルシウスはやることも無いのでドレイクから貰った皮袋の中身を確認していた。そこにあったのは銀貨5枚だった。大きな街であれば大体一月に銀貨20枚程あれば普通に生活出来る額でありいくら村が潤っていてもルシウス個人では初めて手に取る大金だった。


(こんなに沢山……)


 ルシウスはメルザから貰った皮鎧をさすりながら感慨に更けていた。カイルからはマジックポーチ、メルザからは剣と防具を貰ったルシウスは気を引き締めるここは村ではないのだから。


肘当てから脛当て全身を皮で出来た防具を身に纏っており村を出るとしてもこんなに沢山の事をしてくれた両親や村人達に対して感謝の念が絶えなかった。


 お昼頃迄馬車を歩かせ一度お昼休憩を挟む、商人であるベラルテがマジックバックから果物とパンをルシウスに手渡し冒険者達は自分達で食料を鞄から取り出してパンと干肉を食べていた。


休憩を少しとると今日中に森を抜けたいらしくそのまま馬車を進める、その際交替で後方に来たアスマがルシウスに話し掛けた。


「坊主はなんでアルテランサに行くんだ?」


「凄腕のテイマーになりたいからですかね……」


「おっ、坊主はテイマーなのか凄いな」


「まだテイムもした事無いのでテイマーと言えるかどうか……」


「まぁ何事も稼ぐのは大変だからなぁ無理をするなとは言わねぇけど仲間を作る事は大事だと思うぜ?」


 ルシウスの緊張を察して面倒見の良いサブマスターのアスマは色々な話をルシウスにしていた。

 冒険者とは何かとか冒険の内容等危険な物まだあったが少年の心を掴むのはすぐだった。


 夜迄に森を抜ける事が出来た一向は野営の準備を始めるらルシウスは荷台で寝るのでベラルテから毛布を貰い冒険者達は馬車を中心にテントを設営した。


 夕食はベラルテが気を使い皆で集まって食べる事になった。


「君はテイマーになるのかぁ、凄いじゃないか」


 テリトは過去に勇者がドラゴンを従えていた事に幼い頃憧れている節があり周りの冒険者も思い思いに話をしだす。ルシウスがテイマーな事に最初こそビックリしていたがとても好意的だった。


「俺は将来ドラゴンをテイムしたいと思ってます」


「そうだな、夢は大きい程良いだろう。俺はドラゴンを見たことは無いが話を聞いただけでも震え上がったぞその夢も困難だが努力するに値する物なのだろうな」


 真面目な顔をして話すテリトにルシウスは困惑した。


「テリトっっ!お前は真面目臭いんだよ。坊主が怖がってるじゃねぇか、脅かすのはそこまでにしとけよ」


「いや知っておいて損は無いだろう知らずに居たらドラゴンに会った時に絶望するぞ取り敢えず今日は俺が知ってる事を教えてやる」


 仲の良さそうなフリーダムの面子を見てルシウスは羨ましそうにしながらもテリトの話しに耳を傾け世が更けていった。


 途中モンスターの襲撃にあいながらも十七日程で、第三の街アルテランサに着いた。最初の十日は踏み慣らされた道を進んでいたが最後の七日程は整備された街道を進んでアルテランサにやっと着いた。


 今は門の所で検問を受けている街の周りは壁で囲まれており街と言うより国と言っても良い程の大きさだ。検問を終え門をくぐるとそのまま中に入る、街は人でごった返しておりとても賑やかだ。


 商いをしている人が声をあげ客引きをしており活気があった。昼過ぎで人が一番人がいるせいかごった返している、それでも馬車が通れる程の道幅を整備されており苦もなく進む事が出来た。



 道中に立ち寄った村やルシウスの村と比べると雲泥の差だった。そのまま馬車を進め宿屋に停まった。


「依頼はここまでだねテイマー協会まで一人で行けるかな?道は教えるよ」


「いや坊主の事は俺達が送るからベラルテさんは気にしなくて大丈夫ですよ」


 アスマの一声で協会迄送ってもらえる事になった。

 ベラルテに御礼を言ったあとアスマの先導で協会迄向かう、食料品を扱っている店を過ぎると今度は飲食店が軒を連ねそのまま進むと中央に噴水がありそこにはベンチがあって休憩をとる事の出来る割と広い空間があった。


「坊主こっちだ」


 噴水を中心にして四方に道が続いているがアスマは右側の道を指差し進んでいく。


「ここがテイマー協会だ。俺達はこの先を少し言った所にある冒険者ギルドに居るから何かあったら受付嬢に俺の名前を出せ多少の事ならなんとかしてやるから」


「何かあったら言ってくれたら良い俺達もお前なら協力をしてやるのも吝かじゃないからな」


「ありがとうございますなんかあったら頼りにしてますよ」


「おう、じゃあ俺達は行くぜ」


 この十七日の間に仲良くなったルシウスは御礼を言って協会を見る腕輪の様な物が看板の端に書いてありこれはテイマー協会のロゴなのだろう見た目三階建ての様な大きさで、石造りのしっかりしたものだった。


ルシウスが協会を見詰めている時アスマ達はギルドに歩いていった。協会を見た後アスマ達の後ろ姿を見送るとルシウスは扉を押し中に入る。


(アスマさんとテリトさん格好良かったなぁ……違う道を歩むけど俺もあんな風に格好良くなりたいな)

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