真理は蛇足に宿る

 あくまでも人によると思いますが、以下のアイデアはいかがでしょうか?



1. メモやイメージ資料を追加してみる


 私が今回挙げたフォルダ分類をはみ出す思いつきをするかたも、当然おられるでしょう。その場合は「フリーメモ」フォルダを作って、そこに各種のメモを登録するのも良い方法です。

 また、サカローの本体はブラウザですので、ネットで見つけたイメージ資料を、「構想」の各フォルダに登録しておくのも良いでしょう。優れた人物・物語・画像・音楽・ゲーム・広告は、貴方のキャラや世界観に深みを与えるでしょう。

 もちろん、それらの資料は「構想」コンセプトの範囲に留めてください。著作権違反をしてはいけませんよ!



2. プロットをサブフォルダでさらに分類してみる


 私が挙げた今回の例では、プロットの中身は特に分類していませんでした。というのは、既存のプロットには「起承転結」や「序破急」などがありますが、それらはザックリとしすぎてラノベなどのエンタメの長編には向かないものだ、と私は思っているからです。

 参考までに、私が考えるエンタメの長編に向いたプロット分類を挙げます。


】 Break

 いきなり事件から入ります。何が何だかワケが判らなくなる可能性がありますが、そこを何とかするのがテクというもの。


ぼう 】 Ambitious

 事件をきっかけに、主人公が、いやが大志を抱きます。ここで言う大志というのは目的、方向性のことです。主人公や運命が作り出す流れにのって、敵味方のキャラや様々な事情が集まり、ひとつの方向へ突き進む様子を表します。この段階から方向性が必要な理由は、その結果はどうあれ先行きが判らなすぎると読者は不安になってしまうことがあるからです。

 「起」や「序」が抜けているのは、それが言及するまでもないほど短いからです。

 回想シーンや時間シャッフルなどの手法もありますが、それらを使わないでスムーズに「破」から「望」に展開できたら、大したものだと思います。


だん 】 Rising

 主人公が軽いピンチをいくつも乗り越えます。その程度の展開でわざわざ項目を挙げるのは、それがとても重要だからです。読者は「破」の驚きで読み始め、「望」の流れに乗り、「段」の面白さでようやく作品を好きになり始めると思うのです。また、この「段」とは、上り階段のイメージです。「坂」でも「折れ線グラフ」でもない理由は、多少のメリハリがありながらも下がることがないからです。


よう 】 Dancing

 階段の途中にある「踊り場」です。ホッと一息つく場面ですが、「踊り場」だから階段に挟まれて、回顧と予感がすぐ隣にあります。また、文字通り「踊るように」華やかで魅せる場面にしたいと思います。俗にダレ場という説明回でもありますが、ダレてどうすんの。


さん 】 Mountains

 主人公が大きいピンチをいくつも乗り越えます。ピンチ、と言われてもどうドラマを書いたらいいか判らないかたもおられるかも知れませんが、ピンチが起きない人はいません。たとえば通勤・通学でも、寝坊や忘れ物をしたり、出掛けにゴミ出しを頼まれたのに回収車が行ってしまったり、渋滞にハマったり、自転車スマホに轢かれたり、急な便意を感じたりするのは普通にあることです。ドラマの主人公は、そんなピンチが大げさかつカッコいいレベルで起きるだけのことです。


てん 】 Yuck!

 てん、とはころぶこと。主人公が大ピンチに陥ることです。大ピンチとは、派手なピンチではなくて、「ウゲッYUCK!、これもうダメなんじゃないの?」と読者に思わせるピンチです。


しょう 】 Triumph

 運命または最後の敵との決戦、ラストバトル、そしてその勝利です。戦いとその勝利を一緒にしたのは、ラストバトルは長すぎると飽きてしまうからです。なお、エンタメのラストバトルは、必ず勝たなければなりません。試合に負けて勝負で勝った、とか、現実で負けて空想で勝った、というような形でもいいからとにかく勝てばいいのです。勝たない物語は優れたブンガクかも知れませんが、優れたエンタメではない、と私は思います。


】 Home

 主人公と読者が日常へと帰ること。この区切りの締めとなります。そのボリュームが少ないはずなのに、わざわざ分類に入れたのは、その必要性が高いからです。「結」などの終わりを表す言葉ではないのは、哀愁ペーソスや、ほのかな希望がエンディングには必要だと私が考えているからです。


 以上、「破望段踊・山転勝帰はぼうだんよう  さんてんしょうき」を、ある区切り(章・部・巻・作)ごとに繰り返すことが、私の考える良い物語エンタメのプロットだと考えています。


※お遊び このプロットの英語の頭文字をつなげると、「BARD MYTH」(吟遊詩人の神話)となりますよ! カッコいいッ!


 もちろん、いかなるプロット分類をするのも、作者である貴方の自由だと思います。ぜひ貴方オリジナルのプロットテクを編み出してみてください。私自身もエッセイをよく書くので「エッセイ用プロット」を持っています。また、海外ドラマなどは複数のプロットが同時進行するのがフツーです。自分専用の小説プロットができたら、ぜひそのパターンにもチャレンジしてみてね!



3. エンディングを色々考えてみる


 始まる前から終わることを考えるな!なんて言うかたもいますが、物事の終わりを考えるのは必要なことだ、と私は思います。それまでにどう行動したらよいか、見えてくるからです。小説においては、「テーマ(と、そこから始まる物語)」を「問いかけクエスト」だとすると、「エンディング」は「答えアンサー」だと私は思います。

 サカローにおいては、「エンディング」サブフォルダを用意し、それを実行するかどうかは置いといて、考えついた色々なエンディングを書いておくことをお勧めします。きっと、「伏線」の設定や「どんでん返し」の着想にも活かせるでしょう。


 参考までに「僕は戦わない」のエンディングをいくつか考えてみました。

 


 逃げることが僕の戦いだったのだ、と悟る

 僕はもう逃げない、と決意してスキルを捨てる

 魔王からは逃げられない、でも逃げることで勝利する

 ハーレムを作るが、ヤキモチからは逃げられない

 主人公たちは「逃がし屋」を開業する

 世界そのものを「逃がす」ために奮闘する

 この現実世界もまた実はVRゲームだった

 上記すべてのオチをまとめたメタあるいは平行世界エンド



4. ゴーストスタッフを採用してみる


 ゴーストライター、という言葉があります。正規の作者の下請けをして名前の出ない作者のことですね。もし作家である貴方が、ストーリィ以外の要素、キャラ作成や演出などに未熟さを痛感しているなら、「ゴーストスタッフ」を採用してみませんか。

 ただし、このスタッフは貴方の脳内にしかいません。よく本職の脚本家が「この役は〇〇さんをイメージしました」と公言するときがあります。「ゴーストスタッフ」とは尻鳥の造語で、役者に限らず、監督、特撮監督、演出家、舞台美術、メイク、プロデューサーに至るまで、作家以外の実在する(国や時代に限らず)〇〇さんたちを、彼らがスタッフになってくれたら小説はこうなるだろう、とイメージして執筆する方法です。


 サカローにおいては、各フォルダのサブフォルダとして、「ゴーストスタッフ」を用意してみるというのはいかがでしょうか。


※ご注意 くだんの脚本家のような台詞が炎上したという話は聞かないので、この方法は法的にはもちろん、世間的にも許されていると考えられます。


 ただし、他人が作ったフイクションのキャラをゴーストスタッフに迎えるのは、個人的にどうかと思います。著作権的な問題もありますが、それは「役者」ではなくて、「役」だからです。



5. 「ヘルプ」のフォルダを作ってみる


 小説執筆について困ったときにアクセスしたいサイト(の特定のページ)を、「ヘルプ」のフォルダに登録しておきます。

 えっ、その程度はもうやってる、って? いいえ。それは貴方の「PCや仕事」がまもられているのであって、貴方の「小説執筆」がまもられているのではありません。「小説執筆に困ったときはこの専用ヘルプを開けばよい」イコール「もう小説執筆に困っても安心だ」という意識を自ら育てるために、わざわざ別枠で作るのです。

 このヘルプの中に、拙作も入れていただければ幸いです。



6. 「読者の反応」のフォルダを作ってみる


 自分にとって有用な「読者の反応」を個別にブックマークしてみましょう。自信を支えてくれるポジティブなレスや、辛口だけど前向きな意見など、すぐ見れるようにしておくのはいかがですか。



7. サカローのテンプレートを作ってみる


 サカローを使ってたくさんの作品執筆にチャレンジしてみたいかたは、あらかじめ空白のフォルダ・サブフォルダ群を作っておき、ブックマークのどこかに置いといて、それをコピーして使う方法をオススメします。

 また、サカローの基幹を成す「ホバー発想法」(後述)では、空白のフォルダが沢山あったほうがアイデアが出やすいので、ぜひ試してみてください。



 さて、次章はサカローのマニュアルに徹したいと思います。



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